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市民登場 No.761

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■83歳で関西外大を卒業した高専名誉教授
吉田 丈夫さん

◇よしだ たけお 府立工業高等専門学校で36年間機械工学を指導した功績で、昨年春の叙勲を受章。令和2年、79歳で社会人特別入試で関西外国語大学スペイン語学科に入学し今年3月に卒業。山之上在住。83歳。

夢中になれるものを見つければ勉強は楽しいんですよ
今春、83歳で関西外国語大学のスペイン語学科を卒業した。入学のきっかけは府立工業高等専門学校の教授を退官後、軍隊がなく自然豊かで、世界一幸福な国とも言われるコスタリカを訪れ感銘を受けたからだ。「小学校の授業を見学して子どもたちが活発に意見交換する姿にも刺激を受け、コスタリカの公用語・スペイン語を学びたくなったんです」
旅行のほか、太極拳に弓道、テニスにカメラと趣味を満喫し、自治会長を務めるなど充実した生活を送ってきたが、一念発起して79歳で関西外大に入学した。「楽しいだけでは物足りなかったんですね」。最前列で授業を欠かさず受け続ける姿に20代の学生たちからも「元気がもらえる」と慕われた。「単語がなかなか覚えられないから、この4年間は若い人の3倍は勉強しましたね」と苦笑する。
授業を休んだのは瑞宝小綬章受章のため皇居に出向いたときだけだ。「私なんかが叙勲をもらってしまって」と謙遜するが、高専教授時代は全方向に移動できる車椅子の研究をする一方、学級通信を毎日発行し、学生たちのロボコン出場に向けての指導では日付が変わるまでとことん付き合った。自身の研究にもっと時間を割けば良かったと悔いるも「5年制の高専では、大学のように自立した学生として扱いがちだが、15歳で入学したまだ若い学生たちに寄り添い、学ぶ環境を整えてあげることを一番大切にしましたね」。理系離れが叫ばれて久しいが「ものづくりのために一生懸命、自ら勉強する子どもたちを見てきました。夢中になれるものを見つければ勉強は楽しいんですよ」
機械工学からは遠ざかったが、スペイン語を学ぶ生活からはまだ卒業しないつもりだ。「コスタリカの本を翻訳したいんです」。平和で豊かなコスタリカの文化・歴史を多くの人に伝えたいとの熱い思いにあふれている。

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