■「アライでいよう」
大阪教育大学 薮田 直子
8月号では、マイノリティとマジョリティの関係性について述べました。今月は、そこに「アライ(ALLY)」という立ち位置を加えてみます。アライとは、セクシュアルマイノリティ(LGBTQ)の運動から生まれた言葉で、主には「仲間」や「支援者」を表す英語です。最近ではLGBTQの運動に限らず様々な場面で使用されるようになってきました。
あなた自身がマイノリティ当事者でなくても、アライとして行動することは可能です。
社会を教室にたとえた場合、後ろに座らされている人、声が届きにくい人・集団がマイノリティだと説明しました。だからマイノリティの人権という視点に立つと、いかにその声を聞くのかが、社会やマジョリティ(多数派)に問われているのだと言えます。
こう説明すると、マジョリティでいることに罪悪感をもち、マイノリティのために「自分の席を譲る?」と考える人もいるかもしれません。ではあなたはどこに座るのですか?
マイノリティ・マジョリティは立場であり、社会構造の問題です。自分が望まなくても、その時の社会の在り方があなたの座席を決めてしまいます。男性だとか日本人だとか。それらのカテゴリーから逃れることは難しいでしょう。しかし、どんな人であるかは自分で決められます。「関係ない」ではなく、前の席であなたはどう行動するか。
1984年の実話をもとにした映画があります。『パレードへようこそ(原題:PRIDE)』2014年。イギリスを舞台に炭鉱労働者とゲイ、レズビアンの若者たちの『連帯』を描いた映画です。コメディ要素もあり楽しめる作品でありながら、立場を超えた連帯の可能性を感じられます。
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