「100年前の柏原」
今年度の当館冬季企画展では、今から100年ほど前、大正時代の柏原(今回、現在の柏原市域をこのように表現しています)に注目しました。この時代、学校で教育を受けた人材が各方面で活躍し、社会は「近代化」していきました。一方で、昔ながらの生活スタイルが全部なくなったわけではありません。伝統と最先端、和と洋が混じりあった「大正ロマン」の雰囲気は今も人気があり、小説、映画、アニメなどでもよく取り上げられています。
このころ、大阪市の人口は東京市より多い211万人となり、世界第6位の巨大都市に成長しました。そして、大都市大阪は、鉄道を通じて、都市向けの農作物や工業製品を生産する「郊外」のまちとつながっていました。明治時代の終わりから大正時代にかけて、特産のぶどうのブランド化に成功した柏原は、まさに理想の「郊外」のひとつでした。ぶどうの栽培面積は激増し、ワインの醸造や温室での栽培も始められました。掲載している写真をご覧ください。集落がぶどう畑に浮かんでいるようで、幻想的な光景です。
このように、大正時代、日本人の暮らしは豊かになりましたが、経済的な格差も進みました。仕事を求めて都市に集まり、大変な暮らしを送る人もいました。時の大阪府知事や警察の人たちも、こうした問題に真剣に取り組み、これは各個人の問題ではなく、「社会」の問題であるということに気づきました。そして、柏原を拠点として、さまざまな実践を行いました。
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