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ときの輝き

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大阪府池田市

歴史民俗資料館特別展

■池田のたからもの 第3回
歴史民俗資料館では、10月14日(土)から12月3日(日)まで、「池田のたからもの」をテーマにさまざまな市指定文化財(一部は府指定)を展示する特別展を開催します。3回目となる今回は、記念講演会にも関わるお寺や神社の文化財についてお話しします。

◇池田のたからもの「お寺編」
早速ですが、今回展示する文化財の中から、お寺が持っている「たからもの」を紹介します。
まずは久安寺蔵の増長天立像です。増長天は仏法を守護する武神で、四天王のひとりとして久安寺の本尊である千手観音を護っています。平安後期の作とされるこの像は増長天としては穏やかな雰囲気を持ち、どっしりとした力強さを感じます。
次に、東禅寺蔵の天部立像です。本像は阿形(あぎょう)・吽形(うん)ぎょうの2体1組で薬師堂本尊である薬師如来の両脇でにらみをきかせています。大きな像ではありませんが、12世紀のものと推定されていて、本市における平安時代の天部像として大変意義深いものです。
もう一体、常福寺蔵の不動明王坐像を紹介します。忿怒(ふんぬ)相ではありますが、頭が大きく全体的に小ぶりなため、明王像であるにもかかわらず、どことなく幼児を思わせるかわいらしい印象があります。保存状態も良く、北摂の平安後期の不動明王像として貴重です。
このほかに、旧養護老人ホームに安置されていた阿弥陀如来坐像も展示します。いずれも歴史民俗資料館では初展示のものばかりです。またとはないかもしれないこの機会に、ぜひ皆さんの「推し」を探しに来てください。

◇池田のたからもの「神社編」
神社にも多くの「たからもの」が保存されています。10月に開催される神田祭で公開される八坂神社蔵の二十四孝透塀欄間(にじゅうしこうすかしべいらんま)もその一つです。孝行に優れた24人を取り上げた中国の書物を題材にしたこの欄間は近年修復され、その鮮やかな色彩を取り戻しました。
考古学ファンなら、五社神社蔵の鉢塚古墳上部所在経塚出土品も見逃せないでしょう。残念ながら、経文そのものは失われてしまっていますが、中世の信仰を知る上で重要な「たからもの」です。
神社には他にもさまざまな奉納品が納められます。中でも少し異彩を放つのが算額です。これは、日本独自の算術体系「和算」の問題を書いた額で、寺社の境内に掲げて自分が考えた問題(図形問題が多い)を発表したり、その回答を奉納したりする慣習によるものです。今回の特別展では畑天満宮蔵の算額1点(嘉永5年・1852奉納)と亀之森住吉神社蔵の算額2点(文化3年・1806、嘉永元年・1848奉納)を展示します。数学に自信のある方、挑戦をお待ちしております。

◇お寺や神社はたからものの宝庫!
第1回(8月号)で取り上げた「文化財保護法」には、先祖となる法律があります。その名も「古社寺保存法」。明治30年(1897)に制定されたこの法律は、建物を含めた寺社が持つ「たからもの」=文化財を保護することが目的でした。ではなぜ寺や神社にはたくさんの文化財が残されているのでしょうか。
それにはいくつかの要素がありますが、もっとも重要なのは、寺社が持つ歴史的な背景です。古くからある寺社の多くは地域の中心となり、住民の信仰を集めていました。寺社は信仰対象や寄進されたものを「たからもの」として保護し、後世に伝える役割を果たしていたのです。これが、今も寺社が多くの文化財を持っている一番の理由です。
そして、古社寺保存法が文化財保護法に変わった現代においても、寺社はやはり、文化財を護り伝えていく「宝庫」なのです。

問合せ:歴史民俗資料館
【電話】751・3019

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