■リードレスペースメーカーについて
循環器内科主任部長 永井 邦彦
ペースメーカーは、洞不全症候群や完全房室ブロックなど脈拍が遅くなる病気(徐脈)によってふらつきや一時的に意識がなくなってしまうときに対して使用する治療機器です。
従来は胸部の皮下に本体を留置し、そこから心臓内へ留置したリードを用いる経静脈ペースメーカーしか治療選択肢がありませんでした。平成29年から日本でもリードレスペースメーカーが使用可能となり、当院では6年度からリードレスペースメーカーの植え込みを行っています。
リードレスペースメーカーはリードを必要とせず、2cm程度の本体を右室内に留置することで、徐脈の改善が図れます。従来型のペースメーカーと比較して治療時間や入院期間が短いことなどが特徴です。
具体的なメリットとして「リードがなく本体が心臓内へ留置されているので、体外からのペースメーカー植え込みは分からず、美容上、利点がある」「リード線がないため、感染症のリスクが低い」「右の足の付け根の穿刺(せんし)のみで留置が可能であるため、大きな傷口が残らず、術後早期に日常動作を行うことができる」「経静脈ペースメーカーの植え込みより手術時間が短くなることが多い」などが挙げられます。
リードレスペースメーカーに興味がある方は、かかりつけ医にご相談の上、紹介状をご持参ください。なお、疾患によって経静脈ペースメーカーの方が有利なこともあるため、個々の適応については主治医にご相談ください。
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