■河内長野市の隆盛を願ってー
第6代市長 島田智明
市民のみなさん、平成28年の市長就任以来2期8年間にわたり、第6代市長として市政を担わせていただき、大変お世話になりました。
今年は市制施行70周年の節目ということで、歴代市長が築き上げてきたまちづくりの功績を振り返り、将来につなげていくことの大切さを痛感しました。まちづくりは、多様な取り組みの継続から成り立ちますが、社会潮流などに合わせて柔軟に変化していく必要があります。高度経済成長期やバブル経済期を含む人口増加の時代と、少子高齢化・人口減少が急速に進む現代では、まちづくりの方向性が異なりますが、過去をうまく未来に活かすまちづくりを心がけてきました。
財政的に余裕のない中、市職員をはじめ、関係機関のみなさんには随分と知恵を絞っていただき、多岐にわたる社会課題の克服や行財政の改革に挑んでいただきました。二元代表制の一翼を担う市議会議員のみなさんにも、時代とともに進化するまちづくりの推進にご支援ご協力をいただき、また、多くの建設的なご意見ご提案も賜りました。本市のまちづくりにご尽力くださったすべての関係者に改めて感謝申し上げます。
この8年間、資源を活かして工夫を重ね、新たな価値を創造するまちスマートシティの実現に向けて、快適に暮らせるまちスマートライフ、観光で訪れるまちスマートツーリズム、効率的で便利なまちスマートガバメントの3つを柱に取り組みを進め、人々に選ばれるまちづくりを目指してきました。
スマートライフにおいては、本市独自で様々な取り組みを推進し、特に子どもたちに対しては教育環境の充実、高齢者に対しては移動支援に注力してきました。たとえば、子どもたちが世界的視野で多様な価値観を持つことを目標とする河内長野市英語村構想事業。高齢者の外出機会の創出や介護予防だけでなく、公共交通の利用促進や地域経済の活性化を目的に「おでかけチケット」の配布など。自動運転レベル4を目指す乗り合い電動カート「クルクル」の普及も推進しました。
スマートツーリズムにおいては、「中世に出逢えるまち」「女人高野」「葛城修験」の3つが日本遺産に、「寺ケ池・寺ケ池水路」が世界かんがい施設遺産に認定され、道の駅に登録された「奥河内くろまろの郷」を拠点に、交流人口の増加に向けた取り組みを進めました。「楠公さん大河ドラマ」はまだ実現していませんが、その誘致活動を通して、本市が持つ歴史文化遺産のPRに努めました。
スマートガバメントにおいては、ふるさと納税の拡大や包括予算制度の導入により、毎年、原則として財政調整基金を取り崩すことなく、予算編成を行いました。併せて、窓口業務などのアウトソーシング、BPR、DXなど様々な取り組みを行った結果、時事通信社が発表した「全国自治体行政サービス改革度ランキング2023」において、本市が全国1741市区町村の中で2年連続1位の高評価を得ました。
今後、持続可能性や税収確保の観点からも、産業誘致を積極的に進め、ベッドタウンからの転換を推進していくまちづくりが肝要と考えます。そのためにも、堺方面へのアクセス道路の整備や大阪南部高速道路の事業化により利便性向上を目指すとともに、赤峰市民広場、小山田西地区、高向・上原地区の3地区で産業用地化を進めています。
今後、私は市長の職責から離れることになりますが、生まれ育った河内長野市の発展を別の立場で支援していきたいと考えています。新市長が、新たな施策とともに、本市のまちづくりを次のステージへと押し上げてくださることでしょう。
結びに、河内長野市の限りない隆盛と、市民のみなさんのご健勝ご多幸を祈念申し上げ、退任にあたりましてのごあいさつといたします。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>