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人権コラム「しあわせ」

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大阪府河南町

■#教師のバトン
教員が足りない…危機感が語られ始めてから何年も経ちますが、相変わらず教員志望者の減少に歯止めはかからず、現場では慢性的な人手不足が続いています。数年前、そんな状況を打破するため教員という仕事の魅力を伝える「#教師のバトン」が提案されたのですが、いま、このハッシュタグをみると、魅力よりも問題点や課題、愚痴…の発信のほうが圧倒的に多くなっています(課題を見つけるためのハッシュタグになったともいえるかもしれません)。

教員養成大学、教育学部に入学する学生は(少なくとも入学当初は)、それぞれに魅力的な理想の教師像を胸に抱いています。問題は、インターンシップや教育実習等で学校現場にかかわる中で、その夢が膨らまずにしぼんでしまう実態があることです。こんなふうに書くと「やっぱり学校現場は多忙だから」と、昨今報道される事例をあれこれ思い浮かべる方も多いでしょう。実際、学生も「想像以上に多忙で、自分に務まると思えない」と悲観的になりがち。ただ、それを「そうか、仕方がないよね」と受け入れて進路変更してしまうのは、ちょっと違うのでは?と私は思っています。

「この仕事を通してこんな人生を歩みたい、こんな人間になりたい」と描いた夢を、なぜ諦めなければならないのか。労働は義務ですが、同時に権利です。自分が就きたい仕事で夢を持って働く権利はすべての人にあります。「無理なら別の道を」「嫌なら辞めて他を」選びなおすことも一つの方法ですが、何か「選びなおす」ことだけが権利、自由であるかのように錯覚させられていないだろうか…と感じます(そして退職代行や転職サイト等々、それがビジネスになっていることにモヤモヤします)。自分と自分の夢を守るために職場を変えていく、労働条件を改善するという方法もあるはずなのに…。「働き方改革」はだれのための提案でしょうか。進路選択に慎重であれと「選びなおす」ことばかり強調されて、若い人たちが必要以上に臆病にさせられている気がします。

そもそも、教員の仕事はチームワーク。子どもにとっての最善を追求するためにこそ、多忙さを分かち合い支えあう職員室づくりを大切にしている先生方も大勢おられます。そんな先生方と出会って、チームビルディングを学ぶ機会をつくること。働きやすい職場を想像・創造する力を育てること。そのお手伝いをしたいと思っています。

北川 知子(大阪教育大学非常勤講師)

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