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考えよう・人権

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大阪府泉大津市

人間が人間らしく生きるために、すべての人が等しく持っている権利、「人権」について考えるコラムです。

■水と衛生と人権 9月10日は「下水道の日」
世界で最も古い下水道は今から約4000年前、古代インドの都市(モヘンジョ・ダロ)で造られたものとされており、各戸で使い終わった水を集めて、川に流す役目をしていました。一方、大阪には、「太閤(背割)下水」という下水溝が現存し、今でも使われています。豊臣秀吉による大阪城築城の際にその原型が作られたと言われています。
下水道事業は、当初、雨水や汚水を排除することを目的に開始されましたが、1970(昭和45)年の法改正で、「公共用水域の水質保全」が目的に追加されました。このように下水道は「浸水防除」、「公衆衛生の向上」、「公共用水域の水質保全」を大きな目的として事業が実施されています。
日本では、足尾銅山鉱毒事件から始まり、高度成長期のイタイイタイ病や水俣病など、工場排水の汚染による公害病が、生態系とともに人の生命、健康に多くの被害を及ぼした時期がありました。その後、排水処理の技術や基準の改善により、安心して水が飲める国となりました。一方、海外では、今でも水質汚染が原因で病気や安全な生活が脅かされている地域が数多くあるのが現状です。世界中のすべての人が同じように健やかに暮らせる社会が望まれます。
〝水都大阪〟の水質はどうでしょうか。1970年前後、道頓堀川、土佐堀川では、河川の代表的な汚濁指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)が30mg/ℓを超えていましたが、今では5mg/ℓを下回り、琵琶湖を主たる水源とする淀川と同水準にまで改善されています。明治の頃には〝水の都〟、古くは〝難波津〟と呼ばれたように、人の暮らしは川や海と寄り添いながら時を刻んできています。
水が人権の問題として広く取り上げられるようになったのは2000年頃からと言われています。国連経済社会理事会の下に設置された経済的、社会的及び文化的権利委員会では、2002年11月に「十分な量の清潔な個人・家庭用水に対するアクセスがすべての人々の基本的人権である」と示しています。
国や企業、そして個人の水質汚染改善に対する活動や意識が、世界の水質改善や人が人として生きていくための社会環境に寄与していくのではないでしょうか。

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