■泉大津市の名宝(3)〜木造阿弥陀如来立像(安楽寺)〜
安楽寺(本町)の開基については明らかになっていませんが、少なくとも安土桃山時代までさかのぼることができる由緒ある寺院です。本尊である阿弥陀如来坐像の左脇に安置されているこの像は、ヒノキ材の寄木造で作られ、玉眼(目を本物らしく見せるために水晶の板をはめ込む技法)が施されています。現在は黒漆塗りですが、本来は漆箔仕上げ(漆を塗った上に金箔を押す技法)であったと考えられます。右袖の内側には、截金(きりかね)(細く切った金箔を並べて模様を作る技法)で精巧な「変わり斜格子文」が残されており、本来は衣の表面にも截金が施されていた可能性があります。
この像の特徴である細身の体型や鋭い彫り口、理知的な表情、そして繊細で絵画的な衣文の表現は、鎌倉時代の有名な仏師である快慶の作を思わせます。墨書などはなく、作者は明らかではありませんが、快慶の作風に影響を受けた「安阿弥(あんなみよう)様」と呼ばれる様式であり、鎌倉時代中期(1222~1298年)までに快慶の一派によって作られたものと考えられます。
この像は、鎌倉時代の優れた作品として市指定文化財に指定されています。
問合せ:生涯学習課
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