人間が人間らしく生きるために、すべての人が等しく持っている権利、「人権」について考えるコラムです。
■火災ゼロをめざして
令和5年における全国住宅火災件数は、約1万1000件であり、死者数は約970人となっています。そのうち、65歳以上の死者数が全体の約7割以上を占めており、住宅火災から高齢者を守ることが重要な課題となっています。
また、出火原因の多くが、こんろ・たばこ・電気機器など、私たちの日常生活で身近なものとなっています。
一度、火災が起きると、大切な物や思い出が一瞬にして燃えて無くなり、命をも落としかねません。誰もが火災を起こさず平和な日常を願っていますが、火災はちょっとした不注意や不始末により発生するため、「火災は怖いな」「火の元、気をつけなアカンな」など、日頃から防火意識を持つことがとても大切です。
防火意識の高揚に向けた消防署の取り組みとして、民生委員・児童委員が実施している「みまもり活動」に消防職員が同行し、高齢者宅の火気の取り扱い状況の確認や、各家庭に応じた注意点を伝える防火指導に加え、いち早く煙に気付き、迅速な消火や避難につながる住宅用火災警報器の普及啓発に努めています。
一方、皆さんができる取り組みとして、何があるでしょうか。夜警で拍子木を鳴らして行う「火の用心」の呼びかけを思い出す人もいるでしょう。この呼びかけこそが、地域での防火の基本であり、日頃から防火の声掛けをすることが、とても重要です。
今後、さらなる高齢化社会を迎えるにあたり、高齢者を火災から守るため、日頃から隣近所でのコミュニケーションを図り、世間話などの中で防火の声掛けをしていく、この積み重ねが地域防災力の強化、火災発生の抑制、ひいては火災による死者数の減少につながります。
人は誰もが安全で安心な生活を営む権利を持っています。火災によりその権利が脅かされることのないよう、一人ひとりが火災に注意を払う必要があります。人の暮らしは千差万別であることを理解しながら、私たち消防職員ができること、また、地域の皆さんができること、それぞれの強みを活かし、地域の信頼・協力体制を築き、消防署とともに火災ゼロをめざしましょう。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>