文字サイズ
自治体の皆さまへ

ふじいでら歴史紀行 216

41/52

大阪府藤井寺市

【道明寺の歴史を語る 1.プロローグ】
道明寺は、藤井寺市の南東に位置しています。お寺の存する周辺は、もと道明寺村と呼ばれ、古来から豊かな文化と歴史資産のある場所としてよく知られています。今回の歴史紀行では、道明寺を中心とした周辺の文化、歴史資産について見ていきたいと思います。
道明寺は、もとは土師寺(はじでら)と呼ばれていました。これは、古代氏族の一つ、土師氏の氏寺(うじでら)として創建されたことに由来します。創建は今から1400年ほど昔、飛鳥時代中頃のことです。南側の道路よりも高くなった台地上で、閑静なたたずまいを見せていますが、これは近代に移建されたもので、もとは道明寺天満宮南側の参道付近に伽藍(がらん)がありました。塔の中心の柱を支える礎石(塔心礎(とうしんそ))や建物の礎石などが付近にあったと伝えられていますが、現在は道の西側に、一か所にまとめて置かれています。
できたばかりの伽藍は、どんな様子だったのでしょうか。残念ながら、発掘調査などでは、どのような伽藍配置であったのか、明らかにはなっていません。しかし、江戸時代初期の『道明寺旧伽藍図』には、塔、金堂、講堂が南北に直線的に並ぶ、四天王寺式と呼ばれる伽藍配置として描かれています。
お寺のご本尊の十一面観音菩薩立像は、像高1メートル、檜の一木造(いちぼくづくり)で、表面は、彩色などを施さず、頭髪、眼、唇などにわずかに絵具を挿しただけで、あとは木肌のまま仕上げた檀像(だんぞう)彫刻です。檀像とは、本来は白檀(びゃくだん)のような香りのある木を用いた彫像のことで、香りを消滅させないために素地のまま仕上げているのが特徴です。しかし日本では、そのような木の入手が容易でないことから良質の檜材を用いて代用する場合が多く、ご本尊の十一面観音菩薩立像もその好例となっています。昭和27(1952)年には国宝に指定されています。
道明寺には、ご本尊のほかに、試みの観音と称される十一面観音菩薩立像があります。試みの観音は、ご本尊の十一面観音菩薩立像に先だって作られた試作の像で、菅原道真公が自ら作られたと伝えられています。檜の一木造で、像高は50・3センチメートルです。重要文化財に指定されています。
(文化財保護課 新開義夫)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU