【道明寺の歴史を語る 3.道明寺と万博】
大阪・関西万博は、大阪湾に浮かぶ夢洲(ゆめしま)を会場として、4月から開催されます。世界中の国・地域が参加して、多くの人々が訪れる盛大な博覧会となることでしょう。
万博とは「万国博覧会」の略称で、世界の国々が参加する博覧会のことです。人類の進歩を展示し、世界各国の人々との交流の場となり、地球規模の課題に取り組むための英知を集めることなどを目的としています。1851(嘉永4)年にイギリスのロンドンではじめて開催されました。これまでに日本でも開催されていますが、1970(昭和45)年に大阪で開催された「日本万国博覧会」が日本で最初の万博ということで、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
ところで、日本が初めて万国博覧会に参加したのは1867(慶応3)年の第2回パリ万博のことです。その後も日本はさまざまな万博に参加してきましたが、そのような中で、道明寺が万博の歴史に名を刻まれる出来事がありました。
万博では、日本からさまざまなものが出品されました。その中には、先月紹介した道明寺糒(ほしい)も含まれていました。道明寺糒が出品されたことが分かるのは、1878(明治11)年の第3回パリ万博、1889(明治22)年の第4回パリ万博、1893(明治26)年のシカゴ万博、1900(明治33)年の第5回パリ万博です。非常に優れたものということで、メダルが授与されています。
特に、1889(明治22)年の第4回パリ万博の際には、現在もパリのシンボルとなっているエッフェル塔が建設されました。このような時期に道明寺糒は万博に出品されたのです。
実際に、道明寺に行き、お話をうかがいました。道明寺糒は、保存や持ち歩くことができる食料があまりない当時において、そのままの状態で保存でき、非常時などすぐに食べることができるため、高く評価されたのではないか、と考えられているそうです。
道明寺と道明寺天満宮には、これまでの万博で道明寺糒が出品された際のメダルが残されています。表面には人物像などが表現されており、歴史を感じさせるものです。
また、道明寺には、道明寺糒を希望する皆さんにお分けするための、型取ったメダルを付けた木製の看板も伝えられています。
表面には、「道明寺糒 河内名産 製造所 道明寺」などと記されています。
現在に受け継がれたこれらのものは、地域の豊かな歴史を感じさせてくれるものとなっています。
(文化財保護課 新開 義夫)
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