■夕刻より輝きを増す夜城に高槻城の面影を感じて 高槻城公園芸術文化劇場
縦格子と塀の白壁を中心にライトアップされた劇場は、まるで城のような雰囲気
ライトアップ時間:日没~23時
かつて高槻には城があった。高槻城公園芸術文化劇場があるのは、高槻城の二の丸跡。戦国大名、高山右近も居城した高槻城は江戸時代には北摂唯一の城郭で、このエリア周辺には城下町が広がっていた。
劇場が高槻城をイメージしていることは、まわりにある塀や石垣、堀、橋からもうかがえる。随所に使われている木の縦格子も町家の格子戸をモチーフにしたもの。現代の城は、陽が落ち、夜闇が深まるにつれ現れる。どこか厳粛ささえ感じさせる存在感に、時間が止まる。
◆あたたかみのある光がつくる夜だけの光景
照明はアンバー(琥珀(こはく)色)。周囲に溶け込むあたたかみのある色合いは、城のかがり火を意識した。縦格子には下から照明を当て、凛としたたたずまいを演出。とくに建物を東西に抜ける外通路は縦格子の上下に照明を設置し、それぞれで光の強さを調整して建物の美しさが際だつ雰囲気ある空間に。照明は格子の幅に収まるようにし、安全面との両立にも配慮している。
◆やっぱりはずせない! まちなかの定番夜景ビュー
○総合センター展望フロア
市役所本館北側の中央図書館がある建物の最上階は、地上約65mの展望フロア。北は市街地の向こうに北摂山系の山並みが、南は大阪平野、大阪都心部までが一望できる。夜景スポットとしても人気で、昼間とは違った表情を見せるまちの姿は、場所を変えながらずっと眺めていたくなる。開場は20時まで。
○JR高槻駅北高架~弁天跨(こ)線橋
駅の2階から高槻ミューズコートを経て弁天跨線橋までをつなぐデッキは、通路と高層ビルやタワーマンションがつくりだす都会的な夜景が楽しめる。
◆プロに聞く スマホで夜景撮影するなら
監修:中森健作(今号フォトグラファー)
1.手ブレ防止が最大のポイント
暗い夜は手ブレしやすいので三脚を使うのがベストだが、手持ちで撮るなら脇を締めて両手でスマホを持つこと。指でカメラを隠していないかも確認を。
・柵やテーブルの上に置いて固定するのも効果的
・壁や柱に、肩や背中などをもたれさせて体全体を固定。脚は肩幅に広げて自分が三脚になるイメージで
2.幻想的な写真を撮るなら「長時間露光」を
走る車を光の線のようにするなど、シャッタースピードを遅くする(露光時間を長くする)機能で光跡撮影ができる。2秒から10秒を基準に微調整を。機能がないならアプリを利用して。
・iPhoneは「Live Photos」で撮影し、撮った写真を表示して「長時間露光」を選択
・Androidはマニュアルモードなどがあればシャッタースピードを手動で設定
■2500年以上続く暮らしの場が夜に放つ幻想の光 安満遺跡公園
全面開園して2年以上が経過した安満遺跡公園は、国史跡でもある約2500年前の弥生時代の大集落跡を整備した公園だ。公園の中心に毎夜現れるやわらかな光の曲線は、弥生ムラの住居の周りを囲んでいた環濠(堀)をライトアップしたもの。出土品をモチーフにしたオブジェや、再現した遺構もライトアップ。甲子園球場5つ分の敷地の各所に、古の記憶をそっとよみがえらせる。
夜の公園を象徴する環濠の光は、旧京大農場建物群をリノベーションした歴史拠点の周囲に円弧を描くように輝く。東エリアでは、大屋根に下から光を当てて間接照明のようにしたSAKURA広場越しに眺める駅前のビル群もおすすめ
ライトアップ時間:日没~22時
○ちょっとトリビア
遺跡の顔でもある環濠は、人工芝の土塁の内側に白い石を敷いて間接照明で発光しているよう演出。もう一つの重要史跡「方形周溝墓」は上から、農耕が始まった弥生時代の農具や土器のオブジェには下からスポットライトを当て安満遺跡の特徴を打ち出した。一般社団法人照明学会「2022年照明デザイン賞」「2022年照明施設賞」などを受賞。
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