◆欲しかった支援
山中:私たちふうせんの会は、子どもたちの居場所づくりをしています。この居場所には、子どもたちが思っていることを自分事として感じ、考える大人がいます。
当時、子どもたちの声が届く距離に大人がいて、自分のことのように考えてくれる大人の存在を身近に感じられたら良かったなと思います。
高岡:私はありのままの自分に寄り添ってくれる存在が欲しかったです。誰にも自分のありのままの思いを話せずに孤独を感じていて、先のことを考えるといつも不安だったので。自分の価値観を押し付けずにじっくり話を聴いてくれて、今の状況を客観的に整理したり、これからのことを一緒に建設的に考えてくれたりする人がいたらどんなにいいだろう…と思っていました。
◆家族とは
山中:今までずっと「家族」って何だろうと考えてきました。子ども時代には家族と過ごすことにしんどさを感じる時間はありましたが、気持ちのどこかで“わたし”は「家族の一員」であることを感じたいとも思っていました。
ふうせんの会に出会い、私自身が家庭を持つようになって、色んな人との出会いで、「家族のかたち」について少しずつ考え方も変わりました。学生時代から時間が経過した今、私たちなりの「家族」の時間を過ごしている途中です。
高岡:母がある日突然難病になり、右も左も分からないまま台風に巻き込まれるようにケア生活が始まりました。そこから長い年月をかけて、体が不自由になり、できないことが増えていく母のそばでケアし続けることは正直かなりつらいものでした。でも私は、一般的に子どもたちが享受するような時間は得られなかったかもしれませんが、「大切な人を大切にしたい」という、人生で一番叶えたい願望を叶えることはできたと思っています。人間に寿命がある以上、自分にとって大切な人との時間は限られたものです。それを大事にできたことに心から感謝しています。母と過ごしてきた時間は、今も私にとっての支えです。
◆家族を支えるあなたへ
高岡:「いつもよくやっているな」って自分のことを褒めてあげてほしいです。私もいつの間にか母のケアや家事をすることが当たり前になっていましたが、もっと自分がしっかりしなきゃといつも気負っていました。でも、そのときの私は精一杯で、毎日必死にできることをやっていた。だから「自分を責めなくてもいいよ」「十分がんばっているよ」って、当時の私に、そして今ケアをしているあなたに伝えたいです。
大切なのは「ヤングケアラーかどうか」ではなくて「今、自分のことを大切にできているか」だと思います。あなたが大切に思っている家族と同じように、あなた自身も代わりのいない大切な存在であることをどうか覚えておいてほしいです。
山中:当時の私は、家族に分かってもらいたいことや知ってもらいたい自分の気持ちがありました。だけど家族みんなが必死だったから、通じ合わないこともあって、私たちってどうしたら家族になれるんだろうって思っていました。
「家族」には色んなかたちがあるからこそ比べることだってあると思います。比べたり、違いを感じたりしても、今思っている、感じているその気持ちをなかったことにしないで、と皆さんに伝えたいです。
あなたが大切にしたいことを大事に思っていてほしいです。
■ヤングケアラーかもしれない、あなたへ
まずは身近な大人や学校に相談を。難しければ、下記の相談窓口へ。
□子育て総合支援センター【電話】686-5431
(面談・電話・オンライン) ※面談・オンラインは要予約
□青少年相談 ※面談は要予約
富田青少年交流センター【電話】694-3100
・面談…火・木曜14:00~16:00
・電話…火~金曜9:00~12:00
春日青少年交流センター【電話】676-7123
・面談…第2・4金曜14:00~16:00
■ヤングケアラーの理解を深め支援を考える
ID:110522
申込順50人
ふうせんの会を講師に迎え、ヤングケアラーについて学び、自分にできることを考えます
日時:1/24(水)14:00~15:30
場所:子育て総合支援センター
料金:無料
申込:12/7(木)からウェブ申込、電話で
問合せ:【電話】686-5363
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