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[国保中央病院より]アトピー性皮膚炎のあらたな治療薬

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奈良県 三宅町

アトピー性皮膚炎は、かゆみの強い湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。傷ついた皮膚からアレルギーの原因となる物質が体の中に侵入し、そこで炎症がおこり、炎症のせいでかゆみがでてボリボリかくので皮膚をさらに傷つけてしまう、という悪循環が問題だと考えられています。近年、この炎症やかゆみに重要な役割を果たしている物質の働きを抑える新薬がでてきています。ここでは小児にも使える塗り薬と注射薬をいくつかご紹介いたします。
コレクチム軟膏(R)、モイゼルト軟膏(R)はステロイドではない塗り薬で、それぞれJAK、PDE4という物質の働きを抑えます。お薬としては、以前からあるプロトピック軟膏(R)と同じような立ち位置になります。炎症を抑える効果としてはステロイド軟膏でいうと中から弱くらいの強さになるので、皮膚の状態が悪いときはまずステロイド軟膏をしっかり塗って炎症を抑え、その後また悪くならないように定期的に塗る薬として使います。副作用も比較的少ないとされており、コレクチム軟膏(R)は生後6か月から、モイゼルト軟膏(R)は生後3か月から使用可能です。
デュピクセント(R)は、IL-4、IL-13という炎症を引き起こす物質をブロックするお薬で、皮下に注射します。2018年から15歳以上のアトピー性皮膚炎に承認され、効果が高く重大な副作用も少ないためその有用性が認められていましたが、2023年9月からは生後6か月以降のアトピー性皮膚炎にも適応となりました。またデュピクセント(R)以外に、ミチーガ(R)(IL-31をブロック)、イブグリース(R)(IL-13をブロック)といった注射薬や、内服のお薬も登場し、アレルギーの治療はどんどん新しくなっています。
ただしこれらは大変高価なお薬ですので、何か気になる・お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

小児科部長 橋本直樹

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