梅毒とは梅毒菌(梅毒トレポネーマ)により引き起こされる性感染症(いわゆる性病)で、主に性行為などの性的接触により、口や性器などの粘膜や皮膚から感染します。オーラル(口腔)性交やアナル(肛門)性交でも感染することがあります。日本での梅毒感染者数は、2012年には875人でしたが、2022年には約13,000人と10年でおよそ15倍と急増しています。
梅毒に感染すると、性器や口の中に小豆から指先くらいのしこりができたり、痛み、かゆみのない発疹が手のひらや体中に広がることがあります。これらの症状は治療しなくても自然に消えることがあります。しかし、治っているわけではないので感染力が持続しているのが特徴です。治療をしないまま放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、時には死にいたることもあります。
梅毒の感染は血液検査でわかりますが、潜伏期間が3~4週間あり、その間は血液検査をしても異常がでないこともあります。
治療にはペニシリン系の抗生物質を使います。ペニシリンにアレルギーがある人には別の抗生物質を使います。早期梅毒は正しく治療を行えば比較的治りやすい病気ですので、早期発見、早期治療が重要です。また、梅毒の予防にはコンドームが有効ですが、コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があるため、100%安全な予防ではありません。
皮膚や粘膜に異常のある方、ご心配な方は早めにお近くの医療機関にご相談ください。
奈良県医師会
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