新型コロナウイルス感染症の流行下、咳は悩まされる症状です。短期間(3週間以内)で治る咳はほとんどがウイルス感染症ですが、長引く(3週間以上続く)咳では様々な病気が原因となります。
原因として、
(1)気管支喘息(ぜんそく)、喫煙、慢性副鼻腔炎/気管支炎、
(2)肺癌、肺結核など重大な病気、
(3)服用中の薬の副作用(薬剤性)です。代表的な薬剤に高血圧の治療薬(ACE阻害薬:エナラプリル、イミダプリルなど)があり、5~10%の方にのどがむずむずして咳が出ます。服用開始後2~3ヶ月後に好発し、薬の中止により1~2週間で治ります。
胸部レントゲンや血液、痰(たん)の検査で異常がなければ、最も多いものは気管支喘息です。喘息の主症状は咳、喘鳴(ぜんめい:ヒューヒューいうこと)、息苦しさですが、喘鳴や息苦しさがなく咳のみを訴える方があり「せきぜんそく」と言います。気管支喘息の軽症亜型といって良いでしょう。治療は通常の喘息に準じて行い大変有効です。
なお消化管の病気でも長引く咳の原因になることがあります。胃食道逆流症(逆流性食道炎)です。胃酸の食道への逆流が刺激になり咳が出ます。主な逆流症状は胸やけですが、咳のみを訴えることがあり、胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬など)が有効です。
3週間を超える「長引く咳」には様々な原因、ときに重大な病気のことがありますので、「かぜが長引いているだけ」と早合点せず、医療機関にご相談ください。
奈良県医師会
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