腸には食べ物を消化する働きだけではなく、脳とのかかわりや重要な免疫の役割があることが分かってきました。特に小腸は1億個もの神経細胞があると言われており、脳からの指令がなくても自分で判断して活動する力も備わっています。また免疫細胞も豊富に存在し、病気にならないように内部に病原体が侵入するのを防ぐ役割もあります。
生まれたばかりの赤ちゃんの腸はほぼ無菌の状態ですが、大人の腸の中には約100兆個、重さにして約1kgもの腸内細菌が存在しています。4歳ごろには大人と同じような腸内環境になると言われております。腸内細菌のバランスは子どものうちにある程度決まるため、小さい頃からの「腸育」が大切です。
腸育のポイントとしては、日常において朝コップ一杯の水を飲んで腸に刺激を与え、ぜん動運動を促すこと、朝食をしっかりとること、排便を我慢しないこと、適度な運動をすること、夕食はできれば就寝3時間前までに済ますこと、栄養バランスが取れている食事をとることなどがあります。
健やかな腸を作る食べ物としては、みそや納豆、チーズ、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品、玉ねぎやニンニク、バナナ、大豆などに入っているオリゴ糖、サツマイモやゴボウ、人参、海藻、きのこ類などの食物繊維が知られております。
楽しいと感じると脳内からセロトニンというホルモンが分泌されます。このホルモンは腸の動きにも関わっており、ご飯を楽しく食べることも腸育につながります。意識してみてはいかかでしょう。
奈良県医師会
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