日本の医療保険制度では、病気や怪我により医療機関で治療を受けた際に支払う費用の負担を補助するため、国民は決められた保険料を納付することが義務付けられています。
この保険を利用して診療を行うことを「保険診療」と言います。保険診療を行った場合、医療保険加入者(患者さん)は治療費の総額の内の定められた患者負担率分のみを支払えば良く、経済的な負担が軽減されます。医療保険制度が適用される治療内容は国によって定められているので、日本全国どこの病院でも同じ治療は同じ費用で受けることができます。
そして、その保険を使って診療をする指定を国から受けた医療機関を保険医療機関と呼び、健康保険法により定められた「保険医療機関及び保険医療養担当規則(療養担当規則)」という薬の使い方や手術の仕方など細かく定められた規則を守って検査・治療を行います。
療養担当規則に従っていない検査・治療については保険を利用することが認められず、一部の例外を除いて診察代も含めて治療費全額が認められません。また、その違反内容によっては保険医療機関の指定取消、すなわち保険診療ができなくなってしまいます。保険診療ができないというのは、日本では実質、医療行為ができなくなるに等しいため、ほとんどの医療機関はこの規則に従っている、ということになります。
一見そういう制約は不自由に思えますが、冒頭に書いたように治療内容と費用のルールを国が定めることで、日本国中どこでも同じ医療を同じ費用で受けることができるわけで、どういう形がいいとは一概には言えないところです。
奈良県医師会
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