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自治体の皆さまへ

診療所からこんにちは

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奈良県下北山村

第1回:栄養ドリンクの怖い所

皆様いかがお過ごしでしょうか。診療所医師の田口です。この5ヶ月で沢山の村民の方々と再会できてとても嬉しく思っております。皆様の温かいご声援を頂き、つくづく「自分は医者として下北山村に育ててもらっているなあ」と実感していました。また今後の2年間で診療所の建て替え計画もあり、保健福祉課・診療所スタッフ・村民の皆様と共にしっかりと、かつ楽しく取り組んで行きたいと思っています。
さて、今回は皆様も愛飲されていると思われる「栄養ドリンク」についてです。漠然と元気になると思って毎日飲んでいる方も多いでしょうが、実は落とし穴も沢山あります。そこで今回は、
(1)栄養ドリンクの成分について
(2)栄養ドリンクの副作用って?
(3)栄養ドリンクとうまく付き合うには?
の3本立てでお送りしようと思います。

(1)栄養ドリンクの成分について
世の中には沢山の栄養ドリンクがありますが、その大半に含まれる成分は、糖分、アミノ酸、タウリン、ビタミン、カフェインです。糖分は人間の体や頭を動かすのに必要な栄養素です。本当はご飯や麺、パンで摂りたいところですが、風邪などで思うようにご飯が食べられない時には直接糖分を液体で補充出来ると元気になります。アミノ酸も体(タンパク質)を作るのに必要で、肉や魚、大豆などに多く含まれていますが、風邪などで胃が食事をあまり受け付けない場合には栄養ドリンクでアミノ酸が摂れると便利です。タウリンはアミノ酸に似た成分で、貝、イカ、タコ等に多く含まれており、滋養強壮がつくと言われています。またビタミンも体を動かすために重要で、特にビタミンB群は体の元気に関わると言われており、ニンニクなどに多く含まれています。
カフェインはコーヒーなどにも多く含まれており、目をさっぱり覚ます作用があり、これが元気になったような気分にさせてくれるのです。

(2)栄養ドリンクの副作用って?
人間が生きるのに必要な成分や元気になる成分の入った栄養ドリンクですが、当然飲み続けると危険もあります。糖分やアミノ酸が余分だと、肥満や糖尿病の原因になります。1本あたりのカロリーはだいたい50キロカロリー程度ですが、ご飯などの炭水化物と違って純粋な糖分なので、飲むと血糖値が急激に上昇してしまうのです。実際診療所でも栄養ドリンクの摂りすぎで糖尿病が悪化している人をしばしばみかけます。またカフェインは眠気がなくなり元気になった気分になりますが、その反面、寝付きが悪くなったり、動悸がしたり、頭痛がしたりします。逆に神経が過敏になってしまい、不安感が強まってしまったり、焦る気持ちが強まったりすることもあります。ときにはお腹を刺激して下痢になったり、膀胱も刺激するので頻尿になったりもします。また、長期間カフェインを摂り続けるとだんだんいつものカフェインの量では効かない中毒状態になってしまい、酒や煙草のようにやめられなくなり、どんどん栄養ドリンクを飲むという悪循環に陥る可能性があります。

(3)栄養ドリンクとうまく付き合うには?
栄養ドリンクを飲んでいる方で、先程の症状が有る方は一度飲むのをやめたほうが良いでしょう。もしかしたら栄養ドリンクをやめるだけで症状が改善し、飲み薬をやめられるかもしれません!特に不眠症で眠剤をもらっている方や、頭痛があって痛み止めを飲んでいる方、頻尿で薬を飲んでいる方は一度試す価値が有ると思います。カフェインは体に6時間は残るので、寝付きが悪い人は午後から飲まないほうが良いでしょう。
また、栄養ドリンクの用法は1日1本のことが多いので、1日に2本や3本と、沢山飲まないようにしましょう。また毎日飲み続けるにしても中毒症状が怖いので、1ヶ月以上は飲み続けない方が良いです。また、先程書いた通り、栄養ドリンクに入っている成分はすべて別の食べ物で摂ることが出来るので、置き換えてしまう方が良いですね。いずれにしても栄養ドリンクは風邪を引いたときや体調が悪い時だけにして、少ししんどいだけ…という時には安直に飲まないほうが良いですね。

下北山村診療所 田口 浩之

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