第9回:頭痛について
〜(2)厄介な頭痛編〜
冬も本番となり、寒さが堪える季節になってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、前回は命に関わる危険な頭痛について紹介しました。しかし前回も申した通り、命に係わる頭痛の頻度自体は多くありません。大半は「命に関わらないものの生活に困る頭痛」が原因であることが多いのです。そこで今回は、この厄介な頭痛に焦点を当て、
(1)片頭痛
(2)緊張型頭痛
(3)群発頭痛
(4)薬の使いすぎによる頭痛
(5)ストレスと頭痛の関連
の5本立てでお送りしようと思います。
(1)片頭痛
頭痛の代表格と言えば片頭痛です。「セロトニン」という物質が減少し脳血管が拡張すると、血管の横を走っている三叉神経という神経が刺激され、痛みの成分を放出することが原因です。若い女性に多いのが特徴で、50歳以上で片頭痛を初めて起こすことは稀です。ストレスから開放されたときや、生理の前後などに多いです。気圧や気温の変化、チョコレートやワイン、チーズ、みかん等の柑橘類、ナッツなどの食べ物でも片頭痛が起こることもあります。
「片」頭痛の名前の通り、頭の片方だけが「ズキンズキン」と痛みます。数時間から最長で2〜3日続き、光や音の刺激を辛く感じて吐き気が出たりするため、薄暗い部屋で静かに寝ていたい気分になります。また、頭が痛くなる前に「歯車みたいなギザギザが見える」と言った予兆がある人もいます。予兆のタイミングで痛み止めの飲み薬を使うと良く効きますが、痛みが本格化すると薬の効き目が落ち、嵐が過ぎ去るのを待つしかありません。命には関わりませんが、仕事や家事を妨げるほどの痛みなので非常に厄介です。
(2)緊張型頭痛
頭痛の約7割は緊張型頭痛が原因と言われています。肩こりによって頭の筋肉などを継続的に引っ張り続けてしまうことで目の奥が痛くなったり、頭を輪っかで締め付けられるような痛みが生じます。
デスクワークや猫背など、肩や首に負担のかかる仕事や作業をする人には老若男女誰にでも生じます。精神的なストレスが掛かると、全身の筋肉が固まるので緊張型頭痛も起こりやすいです。
痛み止めでも効果がありますが、そもそもの問題が首や肩の筋肉の緊張なので、ストレッチや入浴などで温めることも有効です。姿勢を正しく、デスクワークをするときには1時間程度で一旦席を離れて軽いストレッチを挟むのが良いです。目の疲れを取るために、なるべく遠くの景色を見たりするのも良いです。
(3)群発頭痛
片頭痛と同じく三叉神経の影響で頭痛が生じますが、こめかみのあたりをえぐられるような、転げ回るほどの痛みが1時間程度続きます。年に2回程度の頻度ですが一旦症状が出ると1ヶ月の間、毎日症状が出ます。頭痛が出ている方の目が充血して瞼が腫れ、汗、涙や鼻水が止まらなくなります。
片頭痛と違い、20歳台の若い男性に起こる病気で、明け方に痛みで飛び起きることもあり、痛みの強さから救急車を呼ぶほどです。ストレスは悪化要因です。
(4)薬の使いすぎによる頭痛
病院や市販でもらえる痛み止めや風邪薬を使いすぎるとかえって頭痛が起こることがあります。特に市販の痛み止め、風邪薬には、カフェインを含んでいるものが多く、依存につながります。痛み止めは痛みを治しているのでなく、感じなくしているだけなので、痛みを感じない中でどんどんと脳の痛みに対する過敏状態が悪化して痛み止めが効かなくなり、痛み止めを増やす…といった悪循環に陥るのです。3日に1回以上痛み止めを使っている人は要注意です。
(5)ストレスと頭痛の関連
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、それぞれすべてストレスがかかると発症したり、悪化したりします。実際にはうつ病の症状の一つに頭痛が見られることもあります。うつ病は脳内の神経物質である「セロトニン」の分泌が低下します。
はじめは痛み止めで様子を見ても良いと思いますが、もしも痛み止めでは治らなかったりする場合には、ストレスが強すぎる可能性もあります。たかが頭痛といって我慢せず、一度医療機関に相談してみてください。
下北山村診療所 田口 浩之
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