奈良県立十津川高等学校、陸上競技部。部員は6人。部員数は少なくとも、素晴らしい活躍をしている生徒がいる。
10月に開催された陸上競技の全国大会で18歳以下の男子やり投げで4位に入賞した、2年生の増谷洋輝さん。練習の取り組みや今後の目標を聞いた。
■十津川高等学校陸上競技部2年生
増谷 洋輝(ますたに ひろき)
平成18年十津川村生まれ。中学校では野球、十津川高校でやり投げを始める。今年10月、JOCジュニアオリンピックカップ第17回U18・第54回U16陸上競技大会のU18男子やり投で61m24cmを投げて第4位入賞をはたし、今後の活躍が期待される。
「1年の時は、試合であまり結果は出せなかったです」。2年生で出場した県大会・近畿大会で素晴らしい活躍をしている増谷さん。高校に入学してから始めたやり投げは、入学当初から得意だったのだろうかと尋ねるとそう答えた。
「練習用のやりと大会用のやりでは感覚も違う。でも、試合に出続けて徐々に慣れてきたんだと思います」
陸上競技部顧問の辰己裕門先生も、1年生当時の様子を振り返る。「練習ではよく投げられるんですよ。でも試合になると緊張するんでしょうね。手に変に力が入ったりして」
試合に慣れるとともに、練習を重ねれば重ねるほど結果が出るようになった。今年10月22日、愛媛県総合運動公園陸上競技場で開催されたJOCジュニアオリンピックカップU18陸上競技大会の男子やり投げで4位に入賞した。記録は61メートル24。自己ベストを更新した。約1年前に出場した大会から約20メートルも記録を伸ばした。
部活動は、基本的に平日は毎日だ。土曜日は半日、日曜日はオフだが、日曜日でも自主練習をしている。
増谷さんがやり投げで最も重視するのは、やりを離すリリースの瞬間だ。競技のやりの重さは約800グラム。やりが受ける風の抵抗は投てき距離に影響するため、投射角などが重要になる。「彼のやりを投げる瞬間の感覚は天性のもので、抜群に上手い」。辰己先生は、増谷さんが持つセンスを活かすとともに、基礎体力を高めていけば更に記録は伸びると評する。
増谷さんの現在の目標は63メートル。U20日本選手権大会の参加資格の基準でもある。また、国民体育大会(国体)出場選手に選ばれることも目標にしている。国体といえば、十津川高校の先輩である寒川建之介選手が平成24年度に72メートル53の記録で国体優勝を果たした。現在も奈良県高校記録を保持しており、増谷さんが目標とする選手の一人だ。
「大学でも、やり投げを続けたい」
学校行事や授業もあり、高校生活は忙しそうだ。しかし、部活の話をする様子からは、やり投げが本当に楽しいと思っていることが伝わってくる。
これからも競技を続ける増谷さんの活躍を応援していきたい。
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