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【お散歩日和】出番ですよ~

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宮城県七ヶ浜町

■私にとって七ヶ浜が実家

デレーニ・アリーンさん(仙台市)
東北大学東北アジア研究センター
文化人類学博士・准教授、アメリカ・テキサス州出身

高校生の時にロータリークラブの交換留学生として塩釜女子高(現在の塩釜高校)に留学し、その時のホストファミリーのお母さんの実家が要害の海苔屋さんだったんです。アメリカに戻り、入学した大学が偶然にも宮城教育大学の姉妹校だったものですから、3年後にはまた宮城に留学しました。
文化人類学は、生活様式や言語、習慣など人の社会、文化を比較研究するものです。私が最初に取り組んだのが七ヶ浜の海苔屋さんの奥さんたちについてでした。仙台から要害に何度も通いましたね。
より深く研究するために1年半、御林に住んだこともありました。ここに暮らしてみたからこそ、いろいろな経験をさせていただきました。ある日、「アリーン、明日(午前3時)、海に行こうか」と誘われたことがありました。ここで暮らしているといつ誘われても行くことができます。
ある朝、表浜を散歩していたら、北洋漁業で亡くなったお父さんの浜供養に出るところでした。どういう供養をするのか、何を供えるのか、昔はわら舟を流したことなど、ここに住んでいたからこその出会いでした。そこに住んで調べることが文化人類学の基本なんです。
また、海苔が良かった年と良くなかった年の状況の両方を見ることができました。例えば、私がもしも良い年の状況だけ見たとしたら海苔はもうかるものと思ったでしょう。良くなかった年の厳しさも見たからこそ海苔屋さんの実態がわかりました。ある海苔屋さんが話していたようにまさに「海苔はギャンブル」です。
私は世界中の漁村でコミュニティのことや漁業管理のしかたなどを調べていますが、七ヶ浜での経験が今に役立っています。

◇七ヶ浜の人にお返ししたい
16歳で初来日して、気さくで一番長いおつきあいをしているのが七ヶ浜の皆さんです。七ヶ浜の漁師さんたちはやさしいですね。若い頃、日本語がほとんどできませんでしたので、私と話すときは、わかりやすいように少し標準語を入れてくれました。
私にはふるさととか、実家とかはないんです。親戚家族はみんな違うところに住んでいます。アメリカにいた時には11州を毎年引っ越していました。七ヶ浜の皆さんには大変お世話になっていて、私にとっては七ヶ浜が実家なのです。だから、これからは七ヶ浜の人にお返ししたいですね。
震災後、防潮堤ができて、だんだんと人と海とのつながりに隔たりができてきたように思います。私は文化人類学の研究をしていますが、これからは地球温暖化など、環境と人の関わりについても研究していきたいと思っています。
研究は学者が学ぶだけのものではありません。私は、いろいろな文化、人とつながって地元のための研究をしていきたい。皆さんとともに七ヶ浜の海の文化を守っていきたいと思っています。

*最近、七七支援隊メンバーとして能登の支援に行っています。よそ者ではなく仲間として声をかけてくれたことが何よりもうれしかったと話すアリーンさん

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