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自治体の皆さまへ

町長室から 郷里に響け

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宮城県丸森町

「乗って残そう 阿武隈急行」
55年前、初めて丸森に列車が乗り入れられたのは私が高校3年生の時だった。国鉄丸森線として走った列車は夢と希望に満ちあふれ、地域に大きな活力を与えてくれた。当時の町の盛り上がりは相当なものであった。
今、全国各地でローカル線の存続が危ぶまれている。沿線の人口減少や車社会の進展で人々の鉄路離れが進み、大きな観光地や美しい景色など、よほどの魅力を備えている鉄路でない限り経営状況は厳しいところが多い。
阿武隈急行線も例に漏れず、累積損失が増加傾向にある。そして、令和元年東日本台風や昨年3月の福島県沖地震と、立て続けに発生した災害により、大きな被害を受けてその都度運休を余儀なくされた。さらに、コロナ禍による影響が利用者数の減少傾向に拍車をかけた状況であった。
災害からの復旧には多額の費用を要した。加えて国鉄丸森線の開業から55年、阿武隈急行線として全線開業してから35年という歴史の中で、各施設や車両の老朽化が進み、安全運行のための維持管理経費の増加や車両更新費など、会社や沿線自治体の負担も大きくなるばかりである。
それを解消するためには営業成績を上げることになるが、現在の利用者数は、最高時の平成7年の3分の1しかない状況である。利用者数をいかに伸ばすかが大きな課題となっているが、人口減少の大きな波が公共交通機関に与える影響は非常に大きい。
現在、通勤や通学などで利用している方にとって、阿武隈急行線は必要不可欠な交通手段である。町としても、急激に進む人口減少に歯止めをかけようと、子育て支援や移住・定住支援、教育環境の充実など、様々な施策を展開している。
国鉄時代にも赤字路線となり廃止対象となった際、町全体で「乗って残そう丸森線!」という乗車運動が行われた。1人でも多くの町民の皆さまに利用していただき、地域全体の協力のもと利用者の増加を図っていく必要がある。今一度、これまで以上に皆で「乗って残そう阿武隈急行」を実践するときが来ている。
丸森町長 保科郷雄

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