■阿武隈天文同好会 大槻功
今回は、今年10月に明るい彗星がやってくるという随分と先の話をしようと思いますが、その前に5月のオーロラの話題に触れたいと思います。
先日、太陽にある黒点の活動が活発になっている影響で、「日本でもオーロラが見ることができるかも?」という情報があったので、雲の少ない夜に次郎太郎山の中腹で天体観測をしながら北の空を撮影してみました。しかし、仙台方面の街が明るすぎて、残念ながらオーロラは確認できませんでした。岩手県では、友人が綺麗な赤紫色のオーロラの撮影に成功し、福島県でも光害の少ない奥羽山系で撮影できたとのことです。これは歴史上で初めての凄い出来事でした。大都市である仙台市の南に位置している丸森町では不利な条件だったのが残念で仕方ありません!そのオーロラの元となった太陽の黒点だけでも皆さんにお見せします。(写真(1))
さて、気を取り直して今年10月にやってくる彗星の話です。昨年、新しく発見されたC/2023A3という記号で、名前を「紫金山(しきんざん)・アトラス」彗星といいます。(紫金山は、中国語読みするとツチンシャンです)今は10等星のため肉眼ではとても見えない暗い星ですが、順調に明るくなってきています。右の写真(2)はオーロラ撮影に挑戦した5月11日に撮影した彗星です。まだまだ小さく、短い尾がまるでオタマジャクシのようですね。この彗星は、今年10月10日頃には1等星よりも明るくなり、長い尾を曳いた姿は素晴らしい天体ショーになることでしょう。
ただ、西の空の低い位置に見ることができるので、西の方角がなるべく開けたところが見やすくなります。町内では、小斎地区周辺が見やすく、次郎太郎山の上あたりに見える角度になります。それは誰が見てもすぐに彗星だとわかるほどの存在になるはずです。大きな彗星としては実に27年ぶりで、2024年に現れた大彗星として歴史に名前を残すことになるでしょう。しかもこの彗星は、宇宙のかなたに去っていってしまいます。見ることができるのは最初で最後というわけなので、ぜひ見ておくことをお勧めします。もちろん、その頃にはおそらくテレビ等で大々的に報道されるでしょうから見逃すことはないでしょう。
10月10日以降は次第に暗くなっていきますが、10月いっぱいは楽しめると予想されますので、楽しみに待ちましょう。
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