東日本大震災を語り継ぐため市民図書館に設けた「3・11震災文庫」。所蔵する約1万冊から、よりすぐりの本をご紹介します。
■絵本を通して、親子で震災を考える
絵本を楽しむシニア男子会 代表 京極 利光
○「希望の牧場」
森絵都/作
吉田尚令/絵
岩崎書店 刊
東日本大震災により、福島の原子力発電所は大きな被害を受け、そこに住んでいる人たちの生活にも大きな影響をもたらしました。
原子力発電所から20キロの範囲は人々の立ち入り禁止区域となり、その地域の牧場で飼育されていた牛は放射能に汚染されているため殺処分されることになりました。それでもその地に残り、食べられない・売れない牛たちの命を懸命に守っている1人の牛飼いの姿があります。
文中の「売れない牛を生かしつづける。意味がないかな。バカみたいかな。いっぱい考えたよ。オレ、牛飼いだからさ」から、生きている命を守る大切さを感じられます。
○「あのひのこと―Remember March(リメンバー マーチ)11,2011」
葉祥明(ようしょうめい)/絵・文
佼成出版社 刊
東日本大震災を体験した1人の少年からの聞き取りを基に描かれた絵本で、幼い少年が初めて経験する強い地震の揺れと津波の恐怖、家族と離れ離れになって独りぼっちで不安な夜を迎え…そして家族と再会することになりますが、この体験を通して家族の絆に支えられながら、少年は「希望の光」を見つけます。
少年の気持ちが繊細なタッチで描かれており、大人にも子どもにも「家族の愛」「絆の深さ」「命の尊さ」を、改めて気づかせてくれる一冊です。優しく暖かい色合いの、葉祥明さんの絵もそれを後押ししてくれます。
紹介した本は、市民図書館でご覧いただけます
問合せ:市民図書館
【電話】261・1585
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