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自治体の皆さまへ

古今東西 ぐん(郡)ぐん(郡)行きます! 第55回

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宮城県仙台市 クリエイティブ・コモンズ

郡市長がさまざまな現場を訪問し市民の皆さまの活動の様子などをお伝えします

■第55回 幸町わいわいハッピー劇団編
演劇を通して認知症の啓発活動を行う「幸町わいわいハッピー劇団」の皆さんにお話を伺いました。

○自ら学び地域に伝える
地域の方に認知症への正しい対応の仕方を楽しく、分かりやすく伝え、理解を深めてもらおうと平成25年に旗揚げした「幸町わいわいハッピー劇団」。幸町地区の民生委員児童委員等で構成され、地域での活動経験を生かして演劇を制作・公演しています。
ご自身も認知症家族を介護した経験がある団長の飯塚定男さんは「子どもたちに劇を見てもらおうと、幸町小学校で公演を始め、その後、中学校などでも行ってきました。舞台の上ではなく、子どもたちと同じ目線の高さで演じることを心掛けています」と教えてくれます。
私も実際に劇を見せていただきました。主役のおばあさんは、物忘れ等を息子にとがめられ悲しみますが、他の家族が気持ちをくみ取りながら優しく接することで、笑顔を取り戻していきます。ナレーションを担当する伊藤里美さんが「認知症の症状や接し方が伝わるように気持ちを込めています」と言うように、分かりやすく、見入ってしまう素晴らしい劇でした。
おばあさんを演じる横須賀由美子さんは「劇を見た方から『妻と症状がそっくり』と言われることがあり、続ける中で演技が上達していると感じます」と笑顔を見せます。お嫁さん役の今野明美さんも「役を演じながら、認知症の方への接し方などを学んでいます」と続けます。演劇を通して、皆さん自身の認知症への理解が深まり、長年の積み重ねによって、より伝わるものへと進化しているようです。

○熱演響き心に変化
毎回公演後は、さまざまな反響があるそう。「劇を見た子どもたちが、登下校の時に会うと元気にあいさつをしてくれるんです」とうれしそうに話すのは、息子役の木村敬二さん。演劇を通してできたつながりが、地域での見守りにも役立つのかもしれません。劇の終盤に詩を朗読する菅野かつ枝さんは「親御さんだけでなく、お子さんも涙ぐんでいた、という声を聞きます」と話します。年老いて変わっていく親から子への切実な思いを伝える朗読は、見る人の心を打ち、私も思わず涙が出てきました。
副団長の小野田二三男さんは「新しい団員も前面に出していきながら、劇団を持続していきたい」と活動の継続に意欲を見せます。脚本などを担当する小松島地域包括支援センターの岩井直子さんは「高齢の方から『子どもたちからとても優しくされた』という話を聞いたりすると、高齢者のことを気遣ってくれるようなまちになっていると感じます。これからも演劇を通して、優しさが広がるまちにしていきたいですね」と今後の展望を力強く語ってくれました。

○優しさであふれるまちに
小学生や中学生、地域の方など、見る方に合わせて内容を発展させながら、10年間公演を続けてきた皆さん。子どもから大人までたくさんの方が、皆さんの演劇から認知症のことを学び、優しく、住みやすい地域となっていることを誇らしく思います。この「ハッピー」なまち・幸町の取り組みが各地に広がることを期待するとともに、本市としても市全体が高齢になっても安心して暮らせるようなまちづくりを進めてまいります。

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