東日本大震災を語り継ぐため市民図書館に設けた「3・11震災文庫」。所蔵する約1万冊から、よりすぐりの本をご紹介します。
■心の復興を考える
「Kappo 仙台闊歩(かっぽ)」編集長
小林 薫
○「想像ラジオ」
いとうせいこう/著
河出書房新社 刊
「想像力の中」だけで聴けるラジオを、あの日の深夜2時46分から放送し始めたDJアーク。ラジオ番組形式で進んでいく、生者と死者の関係を描いた物語。
発売した2013年に話題となっていましたが、当時の私にはまだ読む勇気がなく、震災から10年以上がたった最近、ようやく手に取ることができました。被災地にいながら大きな被害がないエリアに暮らしていたため、どことなく感じていた後ろめたさ。読後はそんな私でも、震災について話したり、考えたりしていいんだ、と胸のつかえがとれたような気がしました。
○「表現者たちの『3・11』震災後の芸術を語る」
河北新報社編集局/編
河北新報出版センター 刊
東北にゆかりのある美術家、詩人、音楽家、作家など、35人の芸術家へのインタビュー集。震災直後、生活に直接的な関わりがない分野とも言える芸術を生業(なりわい)とする人たちは、何を想(おも)い、何を感じたのか。感受性が豊かな彼らの中には、一時的に表現の手を止めてしまった人もいましたが、芸術は「心の復興」に欠かせない存在でありました。読んだ後に彼らの作品に触れる機会があると、その背景をより深く感じることができます。震災後の芸術を知るための手引書のような一冊です。
紹介した本は、市民図書館でご覧いただけます
問合せ:市民図書館
【電話】261・1585
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