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3・11震災文庫を読む 77

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宮城県仙台市 クリエイティブ・コモンズ

東日本大震災を語り継ぐため市民図書館に設けた「3・11震災文庫」。所蔵する約1万冊から、よりすぐりの本をご紹介します。

■あの日、僕の対話(ダイアローグ)は始まった
仙台たき火ティー代表 大石 豊

○「女川 復幸(ふっこう)の教科書―復興8年の記録と女川の過去・現在・未来」
「女川復幸の教科書」編集委員会/編
プレスアート 刊
対話の場作りをしています。椅子を輪に並べるアレです。時にたき火を囲みながら対話することもあります。そんな僕が紹介するのは対話の本です。だけど2冊とも「対話をテーマにした本」ではありません。でも、それは僕にとっては対話の本なんです。
『女川復幸の教科書』には、震災後の女川に生きる人がどのように街を形作ったか、語り部である当事者たちの言葉として紡がれます。今の女川の街は、例えば「防潮堤で囲わないこと」「震災遺構は原則残さないこと」など、大人と子どもを問わず「津波をもたらした海と対話して生きていくこと」「死とではなく未来と対話して生きていくこと」を決めた人たちの軌跡が「街の形」として残っています。それは個人の意志と対話への意志の証左と感じます。

○「魂にふれる―大震災と、生きている死者」
若松英輔/著
亜紀書房 刊
片や『魂にふれる』は死者との対話です。被災し亡くなった方々、そして何より著者自身が喪(うしな)った亡き妻との対話。震災のあの日しんしんと降った雪のような静かな言葉。著者は言葉を通して、亡き他者と対話をし、亡き他者と共に今を生きようとしています。かつて、プラトンが「想起(アナムネーシス)」という言葉を通して生を記述したように。
そして、だから、僕も対話をします。今日も明日も対話の輪を作ります。3・11、あの日は僕と世界との対話が始まった日であったことを心に刻みながら。

紹介した本は、市民図書館でご覧いただけます

問合せ:市民図書館
【電話】261・1585

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