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町長コラム ベア・パル

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宮城県利府町

■インバウンド
桜も見ごろを過ぎた頃、知人から「町長、今、利府の館山公園にスーパー富裕層が来ているから顔を出さない?」と連絡がありました。
その日の館山公園は桜が散り始めていて、それがまた幻想的で映画かドラマのワンシーンを見ているようでした。まさに今シーズン最良の日。風も穏やかに吹き抜け、日差しも桜の隙間から注がれ、人もそれほど多くなく、お茶を点てれば茶碗の中にひらひらと桜の花びらが入ってくるような、すべてがパーフェクト、人智を超えたどなたかが最高のシチュエーションを用意してお客様をお迎えしたかのような神々しい時間でした。
米国からプライベートジェットで日本にやってきたというご一行は何泊か東北で過ごした後、東京や京都へ行かれるとのこと。3週間半の滞在で費やす旅費は3億円。そこまでの費用をかけ、旅行客でごった返す日本観光の「ゴールデンルート(東京~京都)」を旅しても、あまり満足は得られないのではないかと心配するのでした。おそらく、利府での思い出が一番になるでしょう。城跡で三味線を聞いたりランチをゴージャスに経験した彼らは、口々に「ゴージャス!」「ビューティフル!」の連呼。利府の持つコンテンツは素晴らしいと改めて実感するのでした。しかし舞台は自然の摂理に頼らなければならないという課題があり、大変難しそうですが、新たな需要を求めてチャレンジしていきたいと思います。
東北の自然、東京のビジネス、京都の文化、こうした新しい「第二のゴールデンルート」の可能性を垣間見るのですが、富士山のような世界遺産の土地、東京近辺の観光地を考えてみると、東北には「日本」と「非日常」が不足していると感じます。
東京や京都、西日本の観光地を訪れてみると、凝縮され、客観的に抽出化された「日本」がそこかしこにあり、「ニンジャ」や「キモノ」「ゲイシャ」、「リキシャ(人力車)」等々「東洋の神秘」をカリカチュアした感じで異国情緒が楽しめます。
翻って東北には「日本」や「非日常」が不足していて「毎日」があるのみです。この「毎日」をどのように「非日常」にして、昔東北を旅した英国人イザベラバードが体験したような東北地方、「桃源郷」のような東北にしていくのかが我々の課題なのではないかと考えます。
回遊性や滞在型のインバウンドを求める際、利府町にたくさんのコンテンツがあること、とてもうれしく思います。残す課題は町内に3億円を費やしていただけるようなキャッシュポイントをいくつ、そしてどのように作っていくかだと思いますが、それは民間の皆さんのアイディアでお願いしたいところです。

利府町長 熊谷 大(ゆたか)

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