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町長コラム ベア・パル

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宮城県利府町

■蜂の天気予報

2022年9月にエリザベス女王が崩御され、歴史絵巻のような国葬が開かれた際、短時間でありましたが、蜂の巣箱に喪を表す黒いリボンが巻かれ「イギリス王室の養蜂家が女王崩御をミツバチに報告するための伝統的な儀式が執り行われた」とニュース映像が流れました。
英国王室には養蜂場があり、蜂の巣箱に女王の崩御と新国王の即位を報告することが伝統、古代ケルト文化のしきたりと耳にしました。欧州で蜂は家族の一員、かつ神聖な存在で、一家の誰かが亡くなったり、誕生したりすると巣箱の前で祈りを捧げ蜂に報告する習慣があるそうです。なんだかご皇室の「皇后御養蚕(こうごうごようさん)」と似ているなぁと感想を持ちました。
この儀式に興味を抱いたのは私自身、蜂の生態や活動を観察していると自然や大気の流れが予報的に見て取れることがあるとわかったからかもしれません。養蜂1年目で私はミスを犯してしまい蜂は冬を越すことができず、全滅させてしまいました。翌年、反省を生かし越冬策を練りました。その甲斐あって無事に春を迎える事が出来ましたが、振り返ると我が家の女王は冬前に異様なほど産卵していたなと。
と言いますのも、女王蜂はだいたい3年から長くて8年生存し、その間、一日平均1,000個の卵を産み続けます。生物は生育環境が厳しくなると多産にシフトすることを考えると「今年の冬は厳しくて長いぞ」と蜂が教えてくれたような気がしました。事実、2022年の冬は北日本海側を中心に厳冬でした。なるほど、農耕が長く続いた人類史で、なぜ蜂が神聖視されるのかがよく理解できました。さらに越冬した一群はとても元気がよく、この春、通常より多く分蜂し、今夏もその勢いは続きそうです。ということは今年の夏はもしかして長雨あるいは酷暑で、あまり花粉が取れなくなるのではないか、働き蜂をたくさん産んで一滴でも多くの蜂蜜を蓄えて冬に備えようとしているのではないかと感じます。その矢先にエルニーニョが発生したと報じられました。蜂の天気予報、どうなるでしょうか。
自然豊かな利府ですから少々目線を落とすだけでも学べることが多くあります。コロナの脅威が去りつつある中、夏休みでもありますので、子ども達と一緒に自然の不思議とそれにまつわる素敵な文化史に今一度関心を持ちたいと思います。

利府町長 熊谷 大(ゆたか)

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