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町長コラム ベア・パル

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宮城県利府町

■畑打ち
卒業式シーズン到来でありますが、ここ最近、人を育てるとはどういうことか、について考える機会や出来事が数多くありました。また近年、人材育成が大変困難になってきているという話もよく耳にします。特に若い世代の育成は昭和時代と大きく異なることからか混迷を極めているのではないかと思います。
その折、町内の企業協議会の新春交流会で、仙台育英学園野球部を甲子園優勝そして準優勝に導かれ、利府町にもご縁のある猿橋善宏(さるはしよしひろ)仙台育英学園硬式野球部長のお話を拝聴する機会に恵まれました。しらかし台中学校野球部監督時代に全国中学校軟式野球大会で同校を全国二位に導いた手腕に以前から大変興味を持っておりました。役場内でも先生に教えられた職員がいるので事前にヒヤリングをいたしましたところ異口同音に「怖い先生だった」と。またまた興味が深まりまして講演に臨みました。しかし、そのイメージとは裏腹にとても理論的で子どもたち一人一人としっかりと向き合う教育信念をもとにクラス運営、または現在は野球部運営をされていらっしゃると感銘を受けた次第です。曰く「人を育てるには指導する側が(1)よく見る(2)よく聞く(3)ものすごく考える。子どもたちの自己効力感、自己肯定感、自己受容をあげるためには指導する側の姿勢が必要で、昔のような罵声と叱責では人はもう育たない」
まさしくその教育の奥義でもある「啐啄同時(そったくどうじ)」を一人一人の生徒と向き合いながら取り組む教育姿勢は令和時代の主流なのかなと考えさせられました。
「人は育てるのではない。育つのを待つ」のだ、と先人は言っていました。人材育成は、実は育てる側、指導する側の忍耐が試されることなのかもしれません。もしかして時代的には「育てる」という意識を持つことすらおこがましい行為かもしれません。
春は蒔いた種が栄養を蓄えて芽吹く季節です。芽を摘むような余計なことはせず、じっくり東日本大震災で荒れた田畑の土を鋤(すき)返し、柔らかくして人の成長や町の発展を待ちたいと思います。

利府町長 熊谷 大(ゆたか)

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