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【さわやか健康】健康のしおり No.570

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宮城県名取市

■「形」を診る医者
宮城県立がんセンター形成外科 後藤孝浩

がんに対する手術の目的は患者さんの体からがん細胞を取り除くことです。がんが発生した部位を切り取り、周囲のリンパ節などにもがん細胞が残っていなければ、とりあえず手術は成功した(がんを根治できた)ことになります。重要なことはまずがん細胞をなくすことであり、そのための手術であれば多少の傷跡や変形は仕方なし、というのがこれまでの「がん」を診る医者の考え方でした。しかし手術を受けた患者さんにとって、その傷跡や変形が機能的あるいは精神的な障害になったり、それが原因で社会復帰できない場合は「形」に対する治療も必要になります。そういった「形」を診て治すのが形成外科医の仕事です。
当センターでの主な仕事は頭頸部がんや乳がんの手術で切除された部分を治す(再建する)ことですが、形成外科の治療対象となる「形」は手術によるものだけではありません。一般的にはケガ(外傷)が多く、その他にも生まれつきの変形(奇形)、最近ではさまざまな治りにくい「キズ」の治療も行なっています。形成外科医は「病気」ではなく「形」を診ているちょっと変わった医者とも言えるでしょう。でもそれゆえ、がん細胞(病気)がなくなっても傷跡や変形が残っている限り、患者さん自身が治療終了の判断をするまでは、形成外科医から治療を終わりにすることはありません。がんセンターの形成外科には、がんの治療が終了してからも通院を続けている患者さんはいます。そういう患者さんたちの元気にしている「形(顔)」を診るのも楽しみの一つです。

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