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自治体の皆さまへ

防災・減災のための未来への懸け橋として(2)

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宮城県多賀城市

((1)の続き)

■本市関連の防災・減災の主な取り組み
□さんみらい多賀城・復興団地の造成
仙台港が近い本市には多くの工場が進出しています。東日本大震災時には、住家のみならず、多くの企業・事業所が被災しました。
東日本大震災では、地震や津波で道路が寸断された影響などで、工場も甚大な被害を受け、物流がストップしました。
そこで、さんみらい多賀城・復興団地を造成し、立地企業の協力のもと、災害時の一時的な避難場所機能や物資の提供機能などを備え、また、団地内にはさんみらい多賀城イベントプラザ(STEP)を整備し、災害備蓄倉庫や災害時の支援物資の荷捌き場所などとして活用できるようにしています。

□地域防災リーダーの養成
防災・減災の体制を市域全体で支えるため、地域防災の要となる「地域防災リーダー」の養成講座を開催しています。
地域防災リーダー養成講座は、これまで主に地域の住民を対象として実施してきましたが、令和6年度は新しい試みとして、幼保施設に勤務する幼稚園教諭や保育士などを対象に実施しました。これは、前述の幼保施設地域連携避難訓練にも通じるもので、今後もさまざまな立場にある人を対象に、地域防災リーダーを養成し、地域防災力を高めるための取り組みを推進します。

□出前講座でも災害時の栄養について講義
昨年12月には、宮城県多賀城高等学校(以下「多賀城高校」という)で「災害時の栄養」についての講座を開催しました。「いつもの食事」を学びながら、災害時のもしもの場合の栄養についても学んだこの講座では、避難所の食事を念頭に備蓄品の選び方などの話を市栄養士からお話しました。

・市栄養士からのワンポイントアドバイス「食品の家庭備蓄のすすめ」
災害直後は食事が炭水化物に偏りがちで、体調を崩しやすくなります。たんぱく質を含む食品(肉・魚・大豆製品などの缶詰、かつお節、桜えびなどの乾物)やビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む食品(切り干し大根・わかめ・のりなどの乾物、トマト缶・コーン缶の缶詰など)をバランス良く備蓄し、日常の調理でも積極的に使いましょう!
食品の家庭備蓄は、非日常のものと考えるのではなく、日頃から無理なく楽しみながら取り入れていくことが大切です。

□多賀城高校でもさまざまな取り組みをしています!
多賀城高校には全国でも珍しい「災害科学科」があります。
市内での防災・減災などのさまざまな取り組みには学校全体で協力いただき、本市の防災には欠かせない存在となっています。
その他、高校生が実際に東日本大震災で被災した場所を歩いて説明する多賀城見聞憶を活用した「津波伝承まち歩き」や、市内の東日本大震災での被災場所に津波の高さを示す標識を設置するなど、災害を忘れない取り組みを継続して実施されており、本市の取り組みを強力にバックアップいただいています。

■~専門家から防災・減災への助言~避難できる身体づくりが防災・減災の第一歩
東北大学災害科学国際研究所 准教授 柴山明寛氏
平成25年に本市と同研究所で連携協定を締結以降、多賀城見聞憶の構築などに深く関わり、「すくっぴー親子DE防災減災」で長年講師を務めるなど、本市の防災・減災事業にご尽力いただいている。

多賀城市は、「幼保施設地域連携避難訓練」や「子育て支援施設での防災教育」、そして、多賀城高校の取り組みなど、東日本大震災を経験していない若い世代に対して防災教育や訓練などが充実しており、安心して子育てができる環境と言えます。
また、東日本大震災の教訓を基に、避難道路の確保や物流拠点の整備などのハード整備も着実に進められていますが、自分自身の命を守れるようにするための体制づくりがさらに求められます。
市では、避難行動要支援者に対する個別避難計画の策定なども進めていますが、要配慮者である高齢者なども安全・安心に避難できるよう、自分自身で動ける身体づくりが防災・減災の第一歩です。
地域で行っている健康づくりイベントなどに積極的に参加していただき、災害が起こっても自力で避難できる身体づくりが重要です。

■[市内で開催したさまざまな事業などにご参加いただいた皆さんからのご意見の一部をご紹介します]災害からあなた自身と大切な人の身を守るために~あなたの思い、聞かせてください~

・防災セットや経路の確認が大切ですが、子どもを安全に避難させるためには、まず親の体力が必要だと思いました。
(すくっぴーひろば 親子DE減災・防災に参加した0歳児の保護者より)

・東日本大震災から14年が経過し、防災訓練への参加者が年々減少している。特に若年層の参加が少ない。参加者も固定し、参加意識も低く形骸化している。防災・減災力の向上にはまだまだ課題がある。
(総合防災訓練の参加者(地区役員)より)

・災害が起こる前の準備、避難した後の子供たち、職員、周囲の状況など、毎月の訓練以外の部分も全員がイメージできるよう防災意識を高めていきたいと思います。
(地域防災リーダー講座参加者より)

・今後いつ何時、災害はどこで発生するのかわかりませんので、避難訓練は定期的に必要だと思いますし、避難場所までの経路(平坦・凹凸など)や景色状況(川・田んぼなど)も把握しておけば、朝昼晩問わず災害時の対応がスムーズに行えると思います。
(幼保施設地域連携避難訓練に参加した協力者より)

・訓練で100%でも、実際には50%くらいしかできないと思う。ならば、日ごろから200%ぐらいの気持ち、準備が大切だと感じました。
(幼保施設地域連携避難訓練に参加した宮城県貞山高等学校生徒より)

・私は、高校で防災の重要性を学び、被災地を訪れる中で、災害に対する油断が命に直結する現実を目の当たりにしました。それ以来、率先避難者となるために防災を学んでいます。しかし、この意識を自分だけに留めていては意味がありません。大切なのは、地域全体で「自分ごと」として防災を共有することだと思います。私は将来、防災について誰もが気軽に意識できるような取り組みを実現したいと思っています。災害には「暗い」「怖い」といったイメージがつきまとうからこそ、少しでも楽しく、前向きに学べるイベントや政策が必要です。備えることを「難しいこと」ではなく「自然なこと」に変えていきたいです。
(多賀城高校災害科学科の生徒より)

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