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令和7年 新春対談

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宮城県大崎市

おおさき宝大使 高泉淳子(たかいずみあつこ)×大崎市長 伊藤康志

大崎市古川地域出身でおおさき宝大使の高泉淳子さんと伊藤市長が、大崎の宝や夢について、語り合いました。

市長 あけましておめでとうございます。
昨年は、元日に石川県能登地方で大震災があったり、豪雨災害があったりと、全国各地で災害がありました。大崎市も猛暑に見舞われましたが、暑さに負けず、米の作況指数が107と全国トップで大豊作でした。ブランド米『ささ結』も生誕10周年を迎え、非常に盛り上がった1年でした。
高泉 年明け早々、悲しい出来事から始まった1年でしたが、私の母が皆さんに支えられながら百寿を迎えることができ、ありがたく思います。
母が90歳を過ぎてからの10年は、月に1、2度は大崎市に帰ってくる生活をしています。
市長 定期的に帰郷される大崎市の印象はいかがですか。
高泉 帰ってくるたびに、大崎を知っているようで知らなかったと思わされます。大学進学を機に東京に出て現在まで、東京での暮らしの方が長いのですが、大崎市は空がきれいで、緑の香りがして、空気がおいしい、こんな自然豊かなところで私は育ったんだな、大崎市は恵まれているところだなと。
東京から帰ってくると、地元にいては気付かない「宝」がたくさんある場所だとかみしめて思います。
市長 昨年はその大崎の「宝」がまた一つ増えました。鳴子温泉地域の南原地区にある約380年前に築造され、代々受け継がれてきた農業用水の「南原穴堰(みなみはらあなぜき)」が、国際かんがい排水委員会から世界かんがい施設遺産に認定・登録されました。
昨年はそのような意味でも、大崎市にとって実り多き年となりました。大崎の宝を誇りに思えるように、今年は日本全国、世界に発信して、ファンや応援団を増やすことに取り組みたいです。

■未来を担う人たちのために
高泉 私が構成・台本・演出を手がける「ア・ラ・カルト」という作品があるのですが、東京で平成元年から始まり、クリスマスシーズンの風物詩となって、ロングラン公演となっています。
当初は5年は続けたいと思っていたのですが、年ごとに観客が増えて、10周年、20周年、試行錯誤しながらまだ可能性はある、まだまだできるかなと思って30周年…。コロナ禍を耐えて35周年、昨年は36周年を迎えました。多くの人に出会い、支えられて、ここまでやってこれたと感謝しています。
若い頃は、成功させなきゃ、お客さんを呼ばなきゃとがむしゃらに仕事をしていましたが、ある時から作品を作っている過程、時間が大切に思えてきて。最近は創作している現場を次の世代が見て、感じ取って、新しい作品を生みだしてもらえたらという思いも抱いています。
世界農業遺産「大崎耕土」や「南原穴堰」も、なりわいをそばで見てきた人たちが、ここでゼロにしてはいけないという思いを積み重ねて、現代までつなげてきたのだろうと感じます。さらに未来を担う人たちに言い伝えていくことは、とても大事なことだと思います。
市長 今年は、未来を担う子どもや若者に焦点を当てた「大崎市こども計画」の策定と「大崎市立おおさき日本語学校」の開校の2つの事業が始動します。
最近、子どもたちの語る夢が現実的になってきていて、もっと大きな夢を持ってくれたらと思うことがあります。
海外から学びに来た学生との交流などで多文化共生を進め、大崎で育つ子どもたちや大崎で学ぶ若者たちが広い視野を持ち、未来に向かって羽ばたいてほしいです。
高泉 これだ、と思う信念があるのであれば、まずは1回やってみる、失敗してもいい。必ずその先に何かが生まれると思うんです。そして、その挑戦を喜んで、後押ししてくれる人も必要ですね。
小学5年生の時に父を脳梗塞で亡くしたのですが、私が今あるのは、東京の大学に行きたいという夢を、母が何も言わずに後押ししてくれたからだと思います。今思えば、あれが私のスタートでした。
海外から夢を持って学びに来る日本語学校の学生も言葉や文化などの壁にぶつかり、大丈夫なんだろうかと不安になると思います。そんな時は「大丈夫、大丈夫」と話を聞いてあげて、多くの人に出会わせてあげる機会をつくってほしいです。

■今後の目標
市長 新年を迎えて、夢や抱負はありますか。
高泉 舞台、ステージをあと何本作れるのかなという思いがあります。この先映画にも携われたらなあと思う気持ちもあります。自分が思う作品に向けて基盤づくりをしていきたいです。
実は昨年の秋から、お酒を控えて、早起きして、1日1キロメートル泳いで、生活習慣を変えてみました。そうすると頭の回転が速くなり、仕事がはかどるんです。体あっての仕事なので、作品作りのために健康管理を継続していきたいですね。
あとは、有言実行の大谷翔平選手を見習って、この歳にして、これからの自分の人生設計ノートを書こうと思います。ノートに書いたことを夢見て進んでいきたいです。

■言葉で伝えることの大切さ
市長 ふるさと・大崎市へのメッセージをお願いします。
高泉 昨年から定期的に大崎市図書館で、仕事人、生活人のための「話し方教室」を開催しています。言葉を交わして相手とコミュニケーションを取ることを苦手だなあと思っている人は多いですよね。でも大事な人に思いが届くということは大きな喜びです。難しい言葉を並べる必要はなくて、一言、二言でも、丁寧に相手のことを思って心を開いて伝えてみる。思いが伝わったときの感動や幸せを感じてほしいです。どなたでも参加できます。ぜひ一度体験してほしいです。
市長 かつては「黙して語らず」が美徳とされていたこともありましたが、会話しないことには自分の気持ちは伝わらないし、誤解を生んでしまうこともあります。家族や地域、異なる文化を持つもの同士、互いを尊重して言葉に気持ちを乗せ、思いを伝えていきたいです。
未来を担う子どもたちや若者たちが大きく羽ばたける環境や体制を整え、応援していきたいと思います。

■高泉 淳子さんプロフィール
古川地域出身。役者・劇作家・演出家。早稲田大学在学中に演劇を始め、NHK「週間こどもニュース」・「週間ブックレビュー」・「昭和演劇大全集」の司会、執筆活動、演劇・音楽プロデュースなど、多方面で活躍。おおさき宝大使を1期から現在まで務める。平成6年文化庁芸術祭賞受賞、平成25年読売演劇大賞優秀女優賞受賞。

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