◆セントメリースキー場を閉鎖します(上)
◇閉鎖を決断
私は、川崎町の町長として、川崎町が保有している「みやぎ蔵王セントメリースキー場」を今シーズン限り、3月いっぱいで閉鎖することを決断しました。
温暖化による雪不足、スキー人口の減少、そして、老朽化が進む設備の維持管理費の増加が予想される中、これまで運営してくださった関係者の方々の思いと努力だけでは、いかんともしがたい、と現実を踏まえての決断です。
◇ずーっと議論
議員の皆様とは、令和4年8月から翌年3月まで、7回にわたってスキー場を運営する事業者の募集方式や期間、管理料の金額の決定について、そのたびにスキー場の存続を含めて議論してまいりました。
また、4年前、暖冬で雪不足のシーズンを乗りきるため、事業者に貸し付ける3000万円をめぐってもスキー場を閉鎖すべきとの複数の議員の方々の意見がありました。これまで、ずーっと議論があったわけです。
◇雪不足は30年前から
スキー場は35年前、三井物産ら4社と川崎町が第三セクターを設立してオープン。売上高は、初年度が3億3000万円、4年目も5億3000万円と順調に推移。しかし、その後3年間は、雪不足による営業日数の短縮で利用客が伸び悩み、来場者数は、平成7年の16万人を最高に減少傾向。平成10年のシーズンまでの累積赤字は24億8000万円。
◇スキー場を買うべきか
下のグラフを見てください。年間の入込数が10万人を割ったのは平成8年。平成10年6月には、三井物産が川崎町に撤退を通告。町に経営の引き継ぎと施設の買い取りを要望。当時の佐藤昭光町長は、「22億円で買ってくれとの打診に、10カ月かけて5億円までに交渉した」と。
しかし、時を同じくして議会では、スキー場調査特別委員会が、5カ月間に9回の調査や依頼した公認会計士の出席、説明を求めた後、「町が営業権を譲り受けることには反対」という審査結果を出すにいたります。
◇二転三転?
特別委員会が審査結果を出してから1カ月後の平成11年5月、寛野秀雄氏が町長に就任。6月にはオニコウベスキー場や白石スキー場が無償譲渡されます。6月25日、寛野町長は取得費5億2000万円の予算案を提出しますが、賛成8、反対11で否決。その後、様々な動きを経て、9月24日、町が3億円で資産と営業権を買い取ることを議会で可決。
◇難しい判断
買い取りを要望されてから1年3カ月。2人の町長は、様々な交渉を続けました。議会は、様々な勉強をし、意見交換を続けました。
町営化反対の町会議員の主張は、「大企業が撤退するのに、経営がうまくいくはずがない。赤字になって町の財政を圧迫するに決まっている」。
賛成の議員は、「冬場の雇用の機会を失ってはいけないし、スキー場が撤退すれば町のイメージダウン」。
25年前、川崎町は、難しい判断を迫られ、スキー場を取得しました。
※続きは来月号にて
令和6年4月1日
川崎町長 小山 修作
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