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【特集】医師の働き方改革 ~患者と医師の笑顔のために~(1)

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宮城県栗原市 クリエイティブ・コモンズ

私たちの命と健康を守るために、日夜働く医師たち。
令和6年4月から、患者と医師にとってよりよい医療体制を整えるための取り組みが始まります。
今月は、医師の働き方改革について、一緒に考えていきましょう。

◆動き出す医師の働き方改革
医師の働き方改革が行われる背景には、全国的な医師不足や、日常的な長時間労働、休日の確保が困難な状態に置かれている医師が多いということが挙げられます。
医師の業務は、患者の診察以外にも、手術や病棟回診、患者や家族への病状説明、夜間の急患対応などがあります。このような、不規則な勤務時間に長時間労働が加わることで疲労が蓄積され、医療ミスにつながる恐れがあります。
こうした課題を解決するため、令和6年4月から医師の働き方改革が始まります。この改革では、勤務医の時間外労働の年間上限を原則960時間とすることや、連続勤務時間の制限、長時間勤務を行った医師への面接指導など、長時間労働の是正に向けた取り組みが行われます。

▽働き方改革における時間外労働の上限規制と対応方法

◆市立病院の患者数
令和3年度の市立3病院(栗原中央病院、若柳病院、栗駒病院)における1日当たりの患者数は、入院で292.5人、外来で680.1人となっています。(表1)
新型コロナウイルス感染症の影響により、受診を控える傾向が見られた令和2年度は外来患者数が減少しましたが、令和3年度からは、新型コロナウイルスワクチン接種への対応が始まり、増加に転じています。
一方、入院患者数については、市内の人口減少が影響し、減少傾向が続いています。

◆増え続ける救急搬送者
市立3病院は、24時間365日体制で患者を受け入れる、二次救急施設に指定されています。
その中でも、栗原中央病院の救急患者は年々増加傾向にあります。令和3年度に救急車で搬送された患者数は2366人で、過去5年間で最大の人数になりました。また、夜間・休日に来院した患者数は4950人となっていて、ここ数年は4千人を超える状況が続いています。(表2)
こうした状況を受け、栗原中央病院では「市民が安心して暮らせる地域」を目標に掲げ、救急患者の受け入れを断らない病院を目指しています。

◆医療を守る医師の数
常勤医の数は、令和5年4月現在で栗原中央病院32人、若柳病院5人、栗駒病院3人となっていて、他自治体の同規模病院と比較すると、少ない傾向が続いています。また、30代から40代の若手医師の減少によって、医師の高齢化が進んでいます。
市立3病院ではこうした現状に対応するため、大学病院から医師の応援を受けながら診察や救急対応に当たっています。
このほか、医師不足や地域間における医師数の偏りといった課題への対策と、栗原の未来の医療を支える医師の育成を目的として、大学病院と連携し、研修医の受け入れと育成を行っています。

◆タスクシフトの必要性
病気やけがをしたときに必要な医療を受けられる環境は、多くの人の命と健康を守りたいという、医師や医療関係者の努力によって作られてきました。
しかし、昼夜を問わず医療を提供することや、日々進歩する医療技術への対応が求められ、長時間にわたる時間外労働などが起こりやすい状況にあります。
市立3病院では、働き方改革の推進に向けた取り組みの一つとして、医師業務の分担(タスクシフト)の実施を検討しています。これは、医師以外の職員が対応可能な業務については分担を行い、医師には診察や手術、入院患者や家族への病状説明といった、専門職でなければ行えない業務に専念してもらうというものです。
医師への業務集中の緩和が見込めるタスクシフトは、働き方改革において重要な役割を担っています。

▽市立3病院における1日当たりの患者数(表1)

▽栗原中央病院における救急車で搬送された患者数と、夜間・休日に来院した患者数(表2)

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