文字サイズ
自治体の皆さまへ

【特集】医師の働き方改革 ~患者と医師の笑顔のために~(2)

2/31

宮城県栗原市 クリエイティブ・コモンズ

栗原中央病院院長の中鉢先生と、内科医長の三田先生に、病院の働き方改革について話を伺いました。

◆栗原中央病院 院長 中鉢 誠司(ちゅうばち せいじ)先生
▽勤務体制の課題
医師の勤務形態の一つに当直というものがあります。当直とは、医師が交代で、夜間における救急患者の対応などの通常診察時間外業務を担当することです。
日中の診察に加えて当直をこなすため、翌日は休息を取ることを基本としていますが、診察を待っている人が多いときは、業務を続けるということも少なくありません。全国の病院でも同様の傾向が見られ、働き方改革における課題だといわれています。
こうした働き方が続くと、寝不足や疲労による判断力の低下を招きます。また、健康上の理由から退職する医師も出てきてしまいます。
現在の市立病院は、常勤医のほか、大学病院などから医師の応援をもらって何とか医療体制を維持しています。
しかし、労働環境の悪化によって医師離れが進んでしまうと、これまで通りの医療体制が維持できなくなり、市民の皆さんの健康を守ることが困難になってしまいます。

▽働き方改革に向けて
栗原中央病院では、当直を行った日の午後に休息時間を取れるよう、病院内で調整しています。
また、診療科ごとに当番医を決め、当直医では対応できない症状などがあれば、当番医に応援を求められる体制を整備し、急な出勤があった際は、振替休暇を取得できるように調整しています。
国が実施する働き方改革では、勤務間に休息を設けることが必要になります。医師の健康を守るためにも、こうした取り組みはこれまで以上に力を入れていきたいです。

▽医師の健康を守り、医療を守る
働き方改革を行ったとしても、地域の医療や救急を守るという病院の役割に変わりはありません。
現在の医療体制を維持しつつ医師の健康を守り、万全の状態で診察などを行える環境を作ることが、安心して受診できる病院へとつながっていきます。
働き方改革には、市民の皆さんの協力が必要不可欠です。早めに病院を受診することや、休日や時間外で主治医が不在の場合は、同じ診療科に在籍するほかの医師を受診することなどを、日頃から心掛けていただきたいです。

◆栗原中央病院 内科医長 三田 貴士(みた たかし)先生
▽医療を地域に還元
働き方改革が進み、今よりもゆとりが持てるようになったら、医療知識の修得はもちろんのこと、病院外の活動にも力を入れたいと考えています。
これまで私は、子どもの食や生活習慣病に関する専門的な勉強をしてきました。栗原市に来てからは、将来を担う子どもたちに食と健康の関わりを知ってもらうため、何度か学校で出前講座をしました。
病院を受診する人以外にも、医療や健康に関する知識を必要としている人はいると思います。私が学んできた知識を地域に還元するためには、自ら病院外に出て行くことが大切だと考えています。
地域に根差した病院だからこそ、市民の皆さんにとって身近な存在でありたいです。

▽受診場所が変わっても
病状が落ち着いている患者さんには、自宅近くの病院や開業医への紹介をお願いすることがありますが、これは決して、市立病院と縁が切れるということではありません。
普段は近くの医療機関で、より専門的な治療や重症な場合は大きな病院で、という病院ごとの役割分担があります。皆さんには、この役割分担への理解をお願いしたいです。もちろん、急病や困ったことがあったらいつでも連絡してほしいと思います。地域の医療機関と市立病院が連携して、皆さんの健康を守ります。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU