地方自治法および、地方公営企業法の規定により、決算を監査委員の審査に付することとされています。監査委員が市の決算書などを確認し、予算執行や会計処理が、適正で効率的に行われているか審査しました。
◇決算審査期間
6月3日(月曜日)から8月26日(月曜日)まで、武田 孝一(たけだ こういち)監査委員と藤野 修一(ふじの しゅういち)監査委員、鹿野 芳幸(かの よしゆき)監査委員が審査を行い、9月5日(木曜日)に市長に意見書を提出しました。
◇審査結果
一般・特別・事業会計の決算と基金の運用状況などを審査した結果、決算書などの計数は正確で、その内容や予算執行状況も適正、妥当と認めます。
■監査委員意見
◇一般・特別会計、基金運用状況
特定不妊治療費助成事業、学校給食費の無償化、そして自然災害に対する防災・減災などに加えて、買い物困難者支援事業に取り組まれました。
新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の取り扱いが2類相当から、季節性インフルエンザと同等の5類に変更されたことに伴い、これまでの社会生活が戻ってきた一方で、エネルギーや食料品の高騰が市民生活に大きく影響を及ぼしています。
市では、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金や酪農経営継続支援事業、さらに、物価高騰支援生活応援商品券補助事業などを実施し、地域経済の再生や物価高騰対策に係る事業に取り組まれました。
財政状況については、必要性、緊急性、費用対効果を基に予算編成を行っているものの、公共施設の老朽化対策経費の他、エネルギーや物価高騰などの影響から、今後もより厳しい状況が予想されます。将来にわたって安定的な財政運営が行えるよう「第3次栗原市行政改革大綱」による取り組みを全庁挙げて着実に実行し、既存の事務事業の見直しと事業の取捨選択をしながら、持続可能な財政運営に一層努めるよう望みます。
変動する社会情勢や行政課題の解決に向け、市民と行政が共に手を携え「市民が創る くらしたい栗原」の実現を目指して、第2次栗原市総合計画に基づく事業推進にまい進することを期待します。
◇水道事業会計
各地区で配水管路の耐震化事業や、有収率向上のための石綿セメント管の更新事業などを実施し、安全、安心な水道水の安定的な給水を確保するための施設整備が行われました。
給水状況は、給水人口、給水戸数の減少などから将来的に給水量の伸びは期待できない状況であり、また、水道施設の更新や耐震化による費用の増大が見込まれるため、事業収益の確実な確保、計画的な施設更新や施設の統廃合による維持管理費の縮小など、ダウンサイジングを強力に推進し、費用の削減に努めるよう望みます。
将来にわたり、安全で安心な水環境の確保は行政の責務であります。「栗原市水道ビジョン」や「栗原市水道事業経営戦略」を基に、健全経営が行われることを期待すると共に、良質な水を安定供給できるよう一層の経営基盤の強化を望みます。
◇下水道事業会計
汚水処理3事業の特別会計を統合し公営企業会計へ移行して、4年目の決算となります。水洗化戸数、水洗化人口とも微増しているものの、人口減少により、将来、使用料収入の伸びは鈍化していくことが見込まれるため、未収金対策など事業収益の確実な財源確保に努めるよう望みます。
また、施設の老朽化に伴う更新費用や維持管理費用の増加など、経営環境の悪化が想定されるため、施設全体の管理を最適化するストックマネジメントを実施し、限られた財源の中で業務の効率化と費用削減に取り組むことに期待します。
下水道事業は、市民の快適な生活を支える重要なライフラインであるため、今後も中長期的な視点を持ち、健全で持続可能な事業経営に努めるよう望みます。
◇病院事業会計
「栗原市病院事業第四次経営健全化計画」に基づき、経営改善に向けた取り組みが積極的に進められましたが、前年度と比較して純損失は増加となりました。
人口減少により患者数の増加は期待できない状況となっており、また、公的医療機関として、新型コロナウイルスなどの社会状況に応じた対応が求められることから、限られた財源と限られた医療資源を地域全体で最大限効率的に活用し、自治体病院としての役割を果たせるよう期待します。
栗原市の地域医療を支える病院事業が、質の高い安全で安心な医療を安定的に継続して提供できるよう、強い使命感を持って、経営の健全化に向けて尽力するよう望みます。
※意見書の全文は、市ウェブサイトからご覧ください。
問合せ:栗原市監査委員事務局
【電話】42-1120
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