普段当たり前のように使っている水道。もし急に使えなくなることを想像すると、できないことが、とても多いと気づきます。
昨年の冬、市内では水道管の凍結が460件以上発生したことで、急に水が使えなくなった家庭があちらこちらでありました。
今月は、冬場に安心して水道を使うためのポイントについて、お知らせします。
市内の水道設備会社で組織する、栗原市管工事協同組合代表理事の伊藤さんに、冬場の水道回りを安心して使うポイントを伺いました。
栗原市管工事協同組合 代表理事
伊藤 恵悦(いとう けいえつ)さん(志波姫熊谷)
◆水道管の凍結予防が一番
栗原市管工事協同組合に加盟する水道設備会社は、これまで、数多くの水道工事を行ってきました。その中でも冬場は特に、水道管の凍結に関する工事が多くなります。
水道管の凍結は、家庭はもちろん、店舗や事務所などでも起きる可能性があります。例えば、家庭で水道管が凍結した場合、トイレや家事に支障をきたし、使用できない期間が長いほど生活に大きな影響が出てきます。実際、修理対応に当たった家庭では、1週間以上使用できなくなったケースもあり、暮らしに大変不便な思いをされていました。
水は生活に欠かせないため、修理は急を要します。そのため、複数社の見積額を比較する時間的余裕もなく、しかも修理前に正確な費用を算出してもらうのは、難しいのが実態です。さらには、漏水箇所の特定に時間がかかり、修理費用が高額になる場合もあります。
これからますます寒さが厳しくなるため、水道管が凍結しないよう、事前に対策することが大切です。実際、昨年の1月下旬には寒波が到来し、水道管の凍結が市内で多数発生しました。当組合の加盟事業者では、6日間で約460件の凍結修理を行いました。
修理の依頼がこれほどまでに殺到すると、早急な対応が難しくなります。天気予報などで、寒波の到来が報じられた際は、特に注意をしてください。
また、水道設備会社によっては、土曜日や日曜日は休みのため、対応が遅れる場合も考えられますので、やはり事前の凍結予防が安心につながります。
■凍結防止に役立つ3つのポイント
水道管は、外気温がマイナス4度以下になると凍結しやすくなります。寒冷地の栗原では、屋外の露出した配管が特に凍結しやすい場所です。また、数日間、家を留守にする場合や長期間使用しない場合も、水道管が凍結する恐れがあります。凍結防止に有効な3つのポイントを紹介します。
◇ポイント1 水道管の水を抜く
凍結防止に最も有効です。水抜栓を閉めて、水道管内の水を抜き、さらに蛇口を開けておくことで、凍結による水道管の破裂を防げます。
水抜栓の場所は、家の構造により異なります。また使い方もメーカーによって異なるため、事前の確認が大切です。
水抜栓が屋内にある場合は、トイレや洗濯機置き場の周辺に設置されていることが多く、水抜栓を操作するための開閉バルブなどの装置が、壁や床にある場合もあります。
一方、水抜栓が屋外にある場合は、建物の脇やボイラー付近に設置されていることが多く、その中には、地面に水抜栓が埋設されている場合もあり、降雪前の確認が大切です。
◇ポイント2 屋外の露出配管の保温
屋外の露出した配管には、凍結防止のためのヒーターが設置されていることが多く、これを活用することが、ポイントになります。
冬を迎える準備として、まずヒーターのコンセントが確実に差し込めるか、次にヒーターが正常に作動するかを確認することが大切です。
ヒーターの種類によっては、外気温が氷点下にならないと自動的に作動しないものもあります。そのため、心配な場合には水道設備会社に点検を依頼するとより安心です。
また、停電が発生し、ヒーターが使えない場合は、蛇口を少し開けて糸を引くくらい少量の水を出しておくと、凍結防止に効果があります。
◇ポイント3 水道メーターボックス内を断熱
水道メーターボックス内の断熱も有効です。
効果的な凍結予防として、発泡スチロールなどの断熱材をビニール袋に入れて水道メーターの周りに詰める方法があります。これにより、冷気がメーターに直接届かず、断熱効果が高まります。
また、断熱材を小分けにして詰めることで隙間ができにくく、断熱効果がより高まります。
ただし、水道メーターボックス内は水が溜まりやすく、発泡スチロールなどの断熱材は濡れると断熱性能が下がるため、注意が必要です。そのためビニール袋の中に入れることで水濡れによる断熱効果の低下を防ぎます。さらに、ビニール袋の中にも水が入らないよう、しっかりと袋の口を結んでおくことも大切です。
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