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【特集】私を相撲に連れてって(1)

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宮城県栗原市 クリエイティブ・コモンズ

明るいニュースが飛び込んできた。瀬峰地区出身の力士、時疾風(ときはやて)関の新入幕の知らせである。現在、大相撲で現役力士として活躍する市内出身力士は3人。時疾風関を筆頭に、安大翔(あんおおしょう)さん、大畑(おおはた)さんと続く。
一方、少子化の進行で、この3人を輩出してきた栗駒中学校相撲部の部員は減少が続く。しかし、取材をしてみると、そこには少人数でも世代を超えてつないできた思いが息づいていた。
今月は、栗原の相撲環境を紹介する。

■身近な相撲環境は当たり前じゃない
市内で相撲競技の指導に当たる安藤さんに栗原の相撲環境を伺いました。

◆栗駒相撲クラブ 代表
栗駒中学校相撲部 監督
安藤 拓哉(あんどう たくや)さん(栗駒鳥沢下)

◇進む競技人口の減少
相撲の競技人口は減り続けています。私が監督を務める栗駒中学校相撲部でも15年ほど前は12人程度いた部員も、現在では3人に。大会の団体戦で1チームの定員を満たすぎりぎりの状況です。
幼少期から相撲に親しむ環境があること、それが競技人口減少の抑制につながると考えています。そのため、指導する対象を小学生にも拡大した栗駒相撲クラブを週2回開催しています。このクラブには、市内の他、隣接する大崎市や、仙台市からも子どもたちが参加し、良きライバルになっています。
このように身近に指導を受けられる相撲クラブは県内でも少なく、名取市の他、県北部の石巻市や気仙沼市、登米市などにそれぞれ1カ所あるのみです。また、相撲クラブの運営だけではなく、数少ない相撲大会の開催に向け、指導者や保護者、地域の相撲競技団体など、関係者の協力で何とか継続できているのが実情です。さらに、相撲場がある施設も限られ、栗駒中学校内の栗駒武道館相撲場のように屋内に土俵がある施設は県内でもまれです。しかも、中学校で組織的に相撲の指導ができる県内最後のとりでになりました。
私たちの今の相撲環境は、土俵際ギリギリいっぱいで踏み留まり、競技人口を必死に支えている状況です。

◇基礎を作る場
中学相撲部の部活は、相撲の基礎を身に付ける場です。基礎が身に付いていないと卒業後に伸び悩むことになるからです。基礎を身に付けること、それは、相撲競技に取り組む土台を作ることになります。生徒たちには、相撲の厳しさ、そして、楽しさも合わせて知ってほしいです。また、大人になってからも、どんな形でも良いので、相撲と関わり続けてくれることを願っています。

■諦めない姿 つないできた思いが 唯一を無二にする
静まり返った相撲場に、「ゴン」と鈍い音が響く。立ち合いの低い姿勢から、相手のまわしを取ろうとする選手同士の頭が土俵上でぶつかり合う音だった。
ここは、栗駒中学校相撲部が稽古をする栗駒武道館相撲場。長年、市内や県内の相撲競技の礎となってきた。部員の多くは、県内の相撲強豪校である小牛田農林高等学校や加美農業高等学校などに進学し、栗原、そして県や全国の相撲競技を支える人材となっている。
指導者の下で稽古ができる貴重な環境の中、部員たちは足運びの基本となるすり足や四股(しこ)など息が上がる稽古にも耐え、日々汗を流す。目標とする8月の全国中学校総合体育大会へ団体出場を狙い稽古にもさらに熱が入る。
県内唯一となった中学相撲部の熊谷主将に相撲にかける思いを伺いました。

◆栗駒中学校相撲部 主将
熊谷 収(くまがい しゅう)さん(栗駒上野)

◇諦めない相撲で勝つ
相撲を始めたきっかけは、中学校の部活紹介でした。体格の良い先輩を見て、自分もそのようになりたいと入部を決意しました。しかし、当初は親に反対されました。小学校まで水泳をしていた私は、体が細く、向かないと思ったのでしょう。それでも、私の決心は変わりませんでした。
「とにかく相撲が好き。そして、強くなりたい」。その一心でこれまで稽古を重ねてきました。相撲は一瞬で勝負が決まる取組もあり、その駆け引きが魅力です。自分も相手より素早い動きで立ち合いを制するような相撲を取りたいと、いつも思っています。そして、これまでの先輩たちのように最後まで諦めずに粘り強い相撲を取る姿を後輩たちに見せていきたいです。先輩たちから引き継いだ最後まで諦めない気持ちを忘れず、部員3人で7月の宮城県中学校総合体育大会を突破し、全国大会の団体戦に出場したい。さらに決勝トーナメント進出、ベスト8を狙いたいです。

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