輝く笑顔で会話する母親たち。その脇では、子どもたちが楽しそうに走り回っています。
この日は、こども食堂の開催日。開催を待っていたかのように、たくさんの親子がやってきました。
集まった人たちの表情は、一様に明るく穏やかで、そのリラックスした様子が印象的です。
今月は、月1回開催される、市内の子ども食堂を紹介します。
「子ども食堂」。その言葉は知っていても、具体的な活動内容は、知らない人も多いと思います。そこで、子ども食堂とは何か、県内の子ども食堂を支援する、みやぎ子ども食堂ネットワーク事務局のNPO法人ふうどばんく東北AGAIN(あがいん)の髙橋さんに伺いました。
◇みやぎ子ども食堂ネットワーク事務局
NPO法人ふうどばんく東北AGAIN
副代表理事 髙橋 尚子(たかはし なおこ)さん
▽子ども食堂はそれぞれカラーがある
平成24年に東京都大田区で初めて誕生した子ども食堂は、現在では全国で1万カ所を超えるまでに広がりを見せています。
子ども食堂は、子どもが一人で来ても食事が食べられる所。そして、食事が無料や安価に提供される所として、これまで理解されてきました。
しかし、これは、子ども食堂が全国で活動し始めた当初の役割の話です。最近は、子どもや親子への食事の提供のみならず、子育てをする親が食事の準備など、一時的に家事を離れ一息つく場所、子どもの遊び場、地域の大人と子どもたちの世代間交流の場、食育、孤食を避けるなど、いろいろな役割を持つようになりました。
また、それらの役割のうち、どこに軸足を置いて活動しているかによって、子ども食堂のカラーも違います。
しかし、課題は共通しています。それは、人手や資金不足、会場確保の難しさです。地域によって、この3つの課題の深刻度合いは前後しますが、どの子ども食堂でも抱える大きな課題です。
◆こどもの長屋で あったらいいなを形に
全国的に増加する、子ども食堂。市内でも、栗駒地区の六日町通り商店街に昨年10月、新たな子ども食堂が誕生しました。
試験的に始まったその子ども食堂も、開催を重ねるうちに工夫を凝らしながら、成長しています。
その活動の様子を代表の藤原さんに伺いました。
◇こどもの長屋 代表
藤原 夏衣(ふじわら かい)さん(栗駒六日町)
▽地域で子育てを分担する
夕飯時に地域の子どもや大人を集めた子ども食堂「こどもの長屋」を月1回開催しています。これは「地域で子育てを分担する」をコンセプトにしたもので、昔の長屋のように、子どもが地域の大人や子ども同士の関わり合いの中で学び、成長していく環境を作りたいと思ったからです。
こどもの長屋では、夕飯として、一汁一菜を基本に料理を提供しています。また、翌日の朝食もお土産として手渡します。そうすることで、保護者の翌朝の朝食作りの負担を軽くし、いつもより15分多く寝られるようにしてあげたいと思ったからです。これは、私自身も母親なので、あったらいいなと思うことを形にしました。
こどもの長屋には、もう一つの狙いがあります。それは、昔ながらの手づくりの味を子どもたちに知ってもらうことです。栗原は、近所付き合いの中で、農家などから野菜をおすそ分けとしてもらうことが多くあります。地元で採れた栄養価の高い新鮮な野菜の味を、できるだけ生かすこと、そして、みそなどの調味料も手づくりの物を使い、シンプルな食事を提供するようにしています。こどもの長屋を通して、子どもたちには、いろいろな味を知ってもらいたいです。
これまでの開催で、課題も見えてきました。それは、子どもたちのお世話をしてくれる人、配膳の準備をしてくれる人など、運営の手伝いをしてくれる人の不足です。さらには、開催日の当日に参加者がどっと増えることもあり、料理は余分に作っておくことなど、運営上のノウハウも少しずつ、蓄積してきました。
これからも月1回のペースで開催し、ゆくゆくは常時開設にしていきたいです。
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