■さをり織りが結ぶ縁
さをり織りを製品加工する岩渕さん、製品を愛用する伊藤さんに話を伺いました。
◇洋裁ボランティア
岩渕 明美(いわぶち あけみ)さん(一関市在住)
製品に加工する際は、布をじっくりと眺めて、どのような形にしたら手織りの風合いや、かわいさが表現できるかを考えます。
また、布の切れ端はボタンやブローチに加工し、作品のアクセントとして無駄なく使います。
手に取った人が温かい気持ちになれる作品を、これからも作り続けていきたいです。
◇さをり織り愛用者
伊藤 京子(いとう きょうこ)さん(若柳かけ)
6年ほど前から、さをり織りのベレー帽を愛用しています。夫と共に手作り弁当の宅配サービスを行っていて、ベレー帽は配達の際に被っている、大切なパートナーです。被ると仕事を頑張るエネルギーがわいてきます。
さをり織りに関わる人の優しさが、身に付ける人の気持ちを前向きにしてくれるのだと思います。
◆糸と人が織りなす先は
「さをり織りは、さまざまな垣根を越えて人と人の心を結んでくれる」と話す、すぷりんぐの二階堂所長。その言葉のとおり、さをり織りは、施設を利用する人たちの活躍の場を広げるだけでなく、作品を通じた心のつながりを生む、大切な存在です。
今回の取材を通じて特に印象的だったのは、さをり織りへの思いを語る人たちの笑顔。誰もが明るく優しい笑みを浮かべ、その魅力や今後の目標を語ってくれました。そこには、障害による垣根はなく、作品そのものを愛おしむ純粋な思いと、それぞれの個性や特性を受け入れ合う姿がありました。
さをり織りを手にしたときに心がほっと温まるのは、そうした思いが糸と一緒に織り込まれているからではないでしょうか。それらに触れ、作り手と使い手の思いが結ばれたとき、さをり織りは世界に一つだけの、特別な作品に姿を変えます。
次に思いを結ぶのは、皆さんかもしれません。この機会にぜひ一度、さをり織り製品を手に取ってみてください。
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