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かくだ発の宇宙飛行士を夢見て

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宮城県角田市

◆第17回 無重力状態で火は燃えるのか?

ロウソクに火をつければ、普通に炎の形をして燃えますね。なぜ炎はあんな形をしているのでしょうか?宇宙ではロウソクに火が付くのでしょうか。それはどんな形になるでしょうか?
まず、地上で見る炎の仕組みを考えてみましょう。ロウソクに火をつけた後は、
(1)固体のロウが溶けて液体になる
(2)液体のロウが芯に染みこんで、蒸発したロウに火が付く
(3)温められて上に向かう空気の流れに沿って、炎が上に伸びてゆく
(4)ロウが完全に燃え切ったところで炎は終わり
という流れを繰り返して、私たちが普段見ているような、上に向かって伸びる炎ができています。
それでは、宇宙では炎はどのような形になるでしょうか?地上では重力の働きで、熱くて軽くなった空気は上に向かって動く、という性質があります。これを「対流(たいりゅう)」といいます。宇宙では重力がありません。空気が熱く軽くなっても上に向かって動く流れができないので、方向に関係なく、外側に向かって広がっていきます。つまり、丸い炎ができます。
宇宙でロウソクは燃えるのか、という実験は国際宇宙ステーションができる前に、ロシアの「ミール」や、アメリカのスペースシャトルでも行われています。実験前は、新鮮な空気が対流によって炎に送られないので、すぐに消えてしまうのではないか、との予想もありました。でも実際には、蒸発したロウと空気がじわじわと風船のような形で混じりあって炎は燃え続けたそうです。ただ、対流で新鮮な空気が次々と炎に送られる地上に比べて、ロウと空気がじわじわと混じりあうだけで燃えているため、「炎の温度は低く、薄暗い青い炎だった。その代わりゆっくり燃えるので45分間燃え続けた」という例も報告されています。
一見単純に見えるロウソクの炎ですが、燃えるというメカニズムは非常に複雑な現象ですね。
仏様が空中に浮かんでいるような絵を見かけることがありますが、お仏壇に供えるロウソクも、仏様の世界で火をつけるとどのような形で燃えるのか?ふと、どうでもよい疑問が浮かんでしまいました。

(JAXA角田宇宙センター 吉田誠)

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