かくだ発の宇宙飛行士を夢見て

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今回も前号に引き続き、8月号で答えきれなかった質問にお答えします!

◆第20回　ロケットエンジンを車に積んだら…

Q.ロケットエンジンを車に積んだら飛べますか?

はい、すっ飛んでいきます!ロケットも実は燃料タンクにロケットエンジンを取り付けたようなものですから、それを車に変えても、電車に変えても、すっ飛んでいきます。
では、どのくらいのすっ飛び方か、ちょっと計算してみましょう。
台山公園にあるH-2ロケットの場合、全体の重さが160トン、そのうち1段目燃料が86トン、1段目のLE-7エンジンの推力が110トン…などなど計算すると、高度300kmの宇宙に重さ10トンの人工衛星(1秒間に7.9kmの速さ)を打ち上げることができます。では、自動車にロケットエンジンを付けたらどうなるでしょうか。大きめの自動車の重さは約2トン、中身をすべて燃料にして、ちょっと小さな2段目エンジンLE-5B(推力14トン)を付けて…などなど計算すると、飛行機くらいの高さまで行けそうです。でも、これでは宇宙にたどり着く前に燃料が燃え尽きてしまいます。残念!
それでは、阿武隈急行にロケットエンジンを付けたらどうなるでしょうか?あぶ急1両はモーターなどを取り除くと約20トン。車両全部を燃料タンクにして76トンの燃料を詰め込んで、LE-7エンジンをつけると、高度100kmは、超えそうです。宇宙に到達です!でも、人工衛星になるスピードは出なくて、そのまま地上に戻ってくることになります。
このように、本物のロケットでは、宇宙まで荷物を運び、人工衛星にすることができますが、自動車にロケットエンジンをつけると、宇宙まであと一歩のところで燃料切れ。あぶ急にロケットエンジンをつけると、宇宙の入り口まで行くことができそうですが、そのまま地上に戻ってきてしまいます。あぶ急に乗って、真っ黒で星が輝く宇宙と、丸くて青い地球が見えたらすごいと思いませんか。あぶ急の線路は、南角田駅から岡駅を超えてJAXAの近くまで、約7kmのまっすぐな線路が続いています。これを滑走路に使って、宇宙まであぶ急で行きましょう!実現したら、私、チケットを買います!
※ロケットの計算の仕方はJAXAまでお問い合わせください!

(JAXA角田宇宙センター　吉田誠)