今回も前号に引き続き、8月号で答えきれなかった質問にお答えします!
◆第21回 ダークマターはどこにある?
Q.ダークマターはどこにありますか?地球にもありますか?
12月にもちょっとお話ししたダークマター(暗黒物質)ですが、今月はもっと詳しくお話しします。「ダークマター」というと、皆さんどんなものを想像しますか?私は暗黒星雲とかスターウォーズのダークサイドのようなものを想像してしまいますが、実は全然違います。もっともっとクリアなのです。「ダーク」といわれる理由は、次の性質のためです。
・見えない
・触れない
・でも質量はある
我々が「もの」と感じているのは、ひと言でいえば電磁波でとらえることができるものです。光も電磁波の一種なので、肉眼、望遠鏡、顕微鏡などで見えるもの、あるいは電波で信号をとらえられるものは「見えた」と思うのです。そして指先で「触った」と感じるのも、指先の原子の周りをくるくる回っている電子と、相手の原子の周りの電子が反発しあって「触った」と感じるのです(単純にし過ぎています、すみません)。でも、ダークマターはこれらの方法ではとらえることができません。だから、「見えない」のです。
その代わり、重さはあるので渦巻銀河の星々が渦の回転で外側に飛んで行ってしまうのを重力で中心にひきつけたり、遠くの宇宙を見た時に、大きな重力で光の進み方を曲げてしまう「重力レンズ」という現象を起こしたりしている、と考えられています。
今の物理学で信じられている宇宙全体の構成比は、
・普通の物資…5%
・ダークマター…26%
・ダークエネルギー…69%
我々が「物質」と考えているものは、全体の5%に過ぎないのです。なんということでしょう!ダークマターは宇宙全体に広がっていて、我々の周りにも、1リットルに1個くらいのダークマターがあり、何の抵抗もなく体をすり抜けていく、と考えられています(諸説あります)。
我々は5%しかない物質がすべてだと思っていましたが、残り95%の一部分でも活用できれば、すごい力が発揮できそうですね。フォースのような!
(JAXA角田宇宙センター 吉田誠)
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