前回に引き続き、皆さんのご質問にお答えします。
『オーロラの中はくぐり抜けられる?』
Q.国際宇宙ステーション(ISS)に乗りながらオーロラの中はくぐり抜けられるのか?
まず、オーロラについて説明します。オーロラは、地球の空気(窒素や酸素など)と、電気を帯びた小さな小さな粒子(電子)がぶつかって光るのです。この電子は太陽から来ます。太陽から吹き出した電子が地球の近くに来ると、地球の磁場に沿って北や南に曲がりながら動き、北極や南極近くの上空で大気に飛び込んでくるときに蛍光灯のように光って見えるのです。普段は北極、南極の近くでしか現れないオーロラですが、ときによっては、かなり広い範囲で見られることがあります。この原因は「太陽フレア」。太陽フレアは、太陽表面の爆発現象で、大きなアーチ状の炎を出します。その炎の大きさは、1万~10万kmもあり、地球を丸ごとのみ込んでしまうほどの大きさになることもあります。すごい爆発ですね!ここからオーロラの原因の電子が大量に飛んでくると、広い範囲で見られることになります。先日、東北地方でもオーロラが観測されたというニュースがありました。また、江戸時代の記録では、江戸(東京)でオーロラが見えたという記録が残っています。太陽フレアが発生すると、電波が乱れる磁気嵐も同時に発生して、電子機器や通信、GPSなどにも影響を及ぼします。江戸時代にもきっと同じことは起こっているはずなのですが、何しろ電子機器がないので、空が赤くなった以外には問題なかったのでしょうね。
さて、ご質問の「オーロラの中はくぐり抜けられるか」ですが、オーロラは、100~400kmの高さに現れます。ISSは上空400km、とても薄~い酸素の中を飛んでいるので、酸素で光る赤色のオーロラをぎりぎりくぐり抜けられるかもしれません。
オマケの話ですが、他の惑星でもオーロラは見えるそうです。大気があって磁石の性質を持っている木星、土星、天王性、海王星などで探査機やハッブル望遠鏡からピンクのオーロラが観測されました。
我々がオーロラを見に行こうとすると、きっと北極近くの国に旅行して、長~い夜に寒~い中でじ~っと待つのでしょう。防寒対策を十分にとって一度は見てみたいですね。
JAXA角田宇宙センター 吉田誠
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