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知事コラム

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宮崎県

■日向灘の地震と台風第10号
第56代宮崎県知事 河野 俊嗣(こうの しゅんじ)

8月8日、日向灘を震源とするM7.1の地震が発生。日南市で震度6弱を観測するなど県全域が大きな揺れに見舞われました。また、8月下旬には過去最強クラスの勢力を保ったまま台風第10号が九州に接近し、29日に薩摩川内市付近に上陸しました。

この地震と台風により、県内各地で様々な人的・物的被害が生じています。被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

日向灘の地震では、初めて国から「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。初の臨時情報に、戸惑われた方も多かったことと思われます。この特別な注意の呼びかけは1週間で終了しましたが、巨大地震発生の可能性がなくなったわけではありません。

今後40年以内に南海トラフ地震の発生する確率が90%程度とされていることに加え、日向灘にプレートの「割れ残り」(過去に発生した地震の震源域で、プレートの岩盤が破壊されずに残った領域)が生じ、地震のリスクが高まっている可能性も指摘されています。このため、県は引き続き情報連絡本部を設置し、警戒体制を維持しています。

一方、台風第10号は、地震で地盤が緩んで土砂災害の危険性が高まっている中、甚大な被害をもたらした2年前の台風第14号や平成17年の台風第14号と同じ、本県にとって最悪のコースをたどり、過去最悪の台風災害が懸念されました。結果的に、人命に及ぶ土砂災害や河川氾濫にまでは至らなかったものの、宮崎市や西都市、国富町、新富町、都農町、門川町で同時多発的に発生した竜巻とみられる突風の被害や、法面崩壊、路肩決壊など、各地に多くの爪痕を残しました。

立て続けに大きな地震と台風に見舞われた本県ですが、この被災体験こそ防災対策をさらに強化する契機とすべきです。今回の地震や台風をきっかけに高まった災害に備える意識を、ぜひ今後とも継続していきましょう。そして、改めて家具類の転倒防止をはじめ、建物の耐震性や避難場所・避難経路、ハザードマップの確認、必要な物資の備蓄など、災害への備えを再確認していただくようお願いいたします。

水や食料は最低3日分、可能であれば1週間分を備蓄し、日常的に消費しながら、その都度買い足して備える「ローリングストック法」が推奨されています。また、地震により大きな揺れがあった地域では、木造の建物の構造耐力が低下している可能性がありますので、そのまま住み続けて大丈夫か強度のチェックをお願いいたします。

私は現在、「防災士」の取得に向け、「救命救急」などの養成研修を受講中です。これまで研修日程の確保がネックとなり実現していませんでしたが、元日の能登半島地震で改めて強い危機感を抱き、公務日程を調整して取り組んでいます。とても勉強になりますし、なるべく多くの方が受講して防災士の資格を取得することにより、地域の防災力が格段に向上すると確信しています。

今回の災害では、観光・宿泊施設や飲食店などでキャンセルが相次ぎ、地域経済に大きな影響が及びました。私たちは、災害への備えを強化する一方で、しっかりと日常生活を取り戻すべく力を合わせていきましょう。

今後とも「災害から県民の生命・財産を守る」ため、「常在危機」の意識を徹底し、災害対策に万全を期してまいります。

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