■サナギタケ Cordyceps militaris(ノムシタケ科ノムシタケ属)
▽昆虫から生えるきのこ
梅雨、霧島山に恵みの雨がシトシトと降り続きます。森の中は霧で覆われ、なんとも幻想的な景色。昆虫や野鳥は最低限の活動になり、森の中は静かです。しかし、この湿度の高い季節を選んで活発になる生き物もいます。霧島山を彩るきのこたちです。
大型の真っ赤で目立つものから、小型で茶色の地味なものまで、さまざまな姿形をしているきのこ。その中で小さいけれど存在感のあるきのこに出会いました。「サナギタケ」と呼ばれ、オレンジ色で大きさは4~5cmほど。「冬虫夏草」と呼ばれ、ガのサナギから生えるという驚きの生態です。
土中でガのサナギに寄生し、時期になるときのこを土中からにょきにょきと生やします。「寄生」と聞くと恐ろしいイメージがありますが、増えすぎたガの個体数調整をするという生態系での重要な役割があります。
雨の霧島山、少し視点を変えると驚くような生体の生き物たちと出会えるかもしれません。
文:えびのエコミュージアムセンター
<この記事についてアンケートにご協力ください。>