下新在住 井上美智子(いのうえみちこ)(82)さん
■踊りは、心を写す鏡
○一意専心、向き合う
日本舞踊の藤間流(ふじまりゅう)「藤寿津会(ふじすずかい)」を主宰する井上美智子さん。これまで約40年にわたり弟子を指導し、現在も30人以上の弟子が慕う。長年、踊りと向き合ってきた井上さんは、踊りは“心の鏡”だと話す。「お弟子さんの些細な心の乱れでも、踊りを見れば分かるんです。『最近、何かあったの?』って聞くと、『先生はお見通しなんですね』と言われますよ」とほほ笑む。
手の指先まで意識を張り巡らせて体全体で表現する日本舞踊は、心の乱れは禁物。だからこそ、本番前の弟子に対して「あなたを信じていますよ、心配していませんよ」と優しく伝える。師匠が心配して本番前にあれこれ言っても、かえってその心配が弟子に伝わるからだ。井上さんが教えているのは、踊りの技術だけでなく、持つべき心の在りよう。井上さんの凛とした立ち振る舞いが、たくさんの弟子たちに受け継がれている。
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